「全日本柔道」コロナ対応で二転三転 五輪本番でも欠場者続出の危機?

羽賀(右)が見事な内股で初優勝を決めたが…(代表撮影)

この判断は正しかったのか。体重無差別で柔道男子日本一を決める全日本選手権(26日)での対応をめぐり、波紋が広がっている。全日本柔道連盟(全柔連)は大会当日の開始直前に同じパーク24に所属する73キロ級の海老沼匡(30)、90キロ級の長澤憲大(27)、100キロ超級の小川雄勢(24)の3選手の欠場を発表。当初は「体調不良のため」と説明していた。

ところが、その後に「新型コロナウイルス陽性者が出たため、チームとして出場しないとの判断」と欠場理由を“訂正”。報道陣は全柔連に説明を求めたものの「公表の内容については所属の判断になるため答えられない」と回答した。これを受けて、所属のパーク24は「感染した選手は他の選手に申し訳ないという気持ちが強く、精神的な面を考え、当社としては選手名などは非公表にしています」とコメントした。

この「他の選手に申し訳ない」というコメントから、個人戦の大会にもかかわらず“連帯責任”を取らされる形となった選手がいることは明らか。本当に3選手とも欠場にする必要があったのか。全柔連の広報担当者は大会翌日の27日に「陽性判定された以外の所属選手が濃厚接触者に該当するかは保健所が判断するが、その時間がなかった」と説明した。

一方で、当初の「体調不良」との発表は「全員が感染者ととられかねない」ということで差し替えられたという。そうであれば、なおさら感染していない選手が出場できなかったことには疑問が残る。さらには、来夏の東京五輪で同様の事態が起きた場合も、出場できなくなるということなのか。柔道関係者から懸念の声も上がっている。

大会自体は羽賀龍之介(29=旭化成)が見事なオール一本勝ちで初優勝を飾り、無事に終了したものの、コロナ対応をめぐる課題が浮き彫りとなった格好だ。

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