【獣神激論】俺の「プロレス大賞」ライガーが独自選定

ライガーが選んだ「プロレス大賞」

【世界のレジェンド ライガーが語る獣神激論(特別編)】獣神サンダー・ライガーが気になる話題やプロレス論を語る「獣神激論」。1年を締めくくる今回は「特別編」として、ライガー選考の「2020年度プロレス大賞」をお届けする。マット界が新型コロナウイルスという未曽有の危機に立ち向かい、また自身にとっても30年8か月にわたる現役生活にピリオドを打った特別な年のMVP男に選んだのは――。

【最優秀選手賞(MVP)=内藤哲也(新日本プロレス)】東スポさんと同じだね。これはもう誰も否定できないんじゃないかな。内藤が入ってきた瞬間の会場の雰囲気って、昔のアントニオ猪木さんと同じだよね。コロナで声が出せない会場でも、俺には「内藤コール」が聞こえるもん。手拍子でもね。しかも今の2冠王。プロレス界の中心というか、2冠争いも結局は内藤を中心に回ってるわけじゃないですか。彼のカリスマ性が確立された1年だったと言っても過言ではないかな。

【年間最高試合賞(ベストバウト)=新日本G1クライマックス優勝決定戦(10月18日、両国国技館)飯伏幸太対SANADA】令和の新日本のストロングスタイル、新しい時代の幕開けと言っていいくらいの試合の密度、内容でしたね。仮に結果が逆になっていても、この試合はすごかった。レスリングもきっちりやってたし、大技に頼ることなくお客さんを引きつけましたよね。どちらも新日本で育った選手ではないのに、G1であれだけのものを見せられたのは称賛に値するね。

【最優秀タッグ賞=タマ・トンガ&タンガ・ロア(新日本)】タッグの魅力を体現してるよね。ダーティーファイトにはらわた煮えくり返ることもあるにはありますけど、あのチームワークは兄弟うんぬんを抜きにして素晴らしい。一発の破壊力もあるし、隙のなさが飛び抜けてるんだよ。タッグでの連係、破壊力で見ていくとやっぱり彼らだと思う。

【殊勲賞=オカダ・カズチカ(新日本)】レインメーカーを使わなくなってコブラクラッチでギブアップを取る試合内容になってたじゃないですか。これからのオカダ・カズチカを考えたらベストの選択だったと思う。1年、じっくり周りを見られた時間だったんじゃないかな。来年のオカダ選手は怖いよ。まだまだ幅を広げようっていうこの貪欲さ。来年のMVP候補筆頭という意味での殊勲賞くらいの気持ちがありますね。

【敢闘賞=YOSHI―HASHI(新日本)】個人賞で一番最初に名前が浮かびました。G1がすごかった。下手したら「来年優勝候補の一角か?」ってくらいの成長度合いでしたね。6人タッグのベルトを巻いてますが「ベルトが選手を育てる」っていうのを地で行ってるので。来年以降のYOSHI―HASHI君から目を離すなって感じですね。

【技能賞=ザック・セイバーJr.(新日本)】空間を利用した技も出すし、技が多彩で入り方のバリエーションも多い。世界中を遠征することで、ザック流というものが完全に確立されてる。しかもまだまだ進化してる。彼がノアのジュニア時代から僕も戦ってたけど、正直ここまで飛び抜けるとは思わなかった。努力以外ないよね。すごいよ。

【女子プロレス大賞=ジュリア(スターダム)】存在感が飛び抜けてるし、あの鍛えた体を見たらすごさが伝わるよね。1回ユーチューブの企画で一緒に練習したんだけど、素直に聞くだけでなく、分からないときはどんどん質問してくる。貪欲。その場でおしまいじゃなくて、すぐに自分たちで練習して実践する。だから吸収も早いんだろうね。ドンナ・デル・モンドの子たちはみんなそうだし、いい手本になってると思うよ。

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