島津製作所、ラボ装置リモート管理システムなどの製品群を発売

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、世界各地でロックダウン(都市封鎖)や厳重な外出制限が行われてきた。医薬・食品・化学分野などの企業・研究機関では、研究者・技術者がラボに立ち入ることができず分析計測機器に触れられないため、研究開発や品質管理といった業務に支障が出ている。装置の保守点検に従事するサービスエンジニアも顧客のラボを訪問しにくくなった。しかし、こうしたラボは感染症対策で重要な役割を果たす治療薬やワクチン、消毒液、機能性食品などの開発拠点でもある。株式会社島津製作所は、ラボ内の液体クロマトグラフ(LC)の稼働状況をスマホやPCで確認できる遠隔管理用ソフトウェア「LabTotal Smart Service Net」および液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の解析ソフトウェア「LabSolutions LCMS/Insight」を発売した。日本で緊急事態宣言が発令された2020年4月末に、島津製作所はラボに出勤できない研究者向けにインターネット上で解析ソフトウェアを無償配布した。その結果、医薬・医薬品原料・食品・衛生用品などのメーカーを中心に国内外で累計1000件以上のダウンロードを記録した。この機能を継続的に利用できるように製品化したものが、LabSolutions LCMS/Insightである。多くの装置を使用するラボで、個別の装置の稼働状況の確認作業には時間と手間がかかるが、LabTotal Smart Service Netでは、ラボ内全てのLCの稼働状況をクラウドサーバー上で管理できる。また、装置の異常や消耗品の減り具合と併せて、保守点検用ウェブサイトのURLをメールで管理者に通知する。対処方法を動画などで簡単に把握できるため、装置の稼働率向上およびラボ業務の継続につながる。また、従来、測定結果をレポートにまとめる際にはラボ内のPCで解析する必要があったが、LabSolutions LCMS/Insightでは自宅でも解析やレポート作成業務の継続が可能となる。さらに、LabTotal Smart Service NetはVPN(バーチャルプライベートネットワーク)などの通信インフラを整備する必要がなく、低コストで導入可能だ。また、LabSolutions LCMS/Insightも、より簡単に多くの研究者が利用できるように低コストで提供するとのことだ。同製品を通じて、「スマホでラボの装置状況をリアルタイムに把握」「出社せずに計測データを解析」という研究者の働き方改革を支援する。なお、LabTotal Smart Service Netの販売価格は12万円/年~(税別)、LabSolutions LCMS/Insightの販売価格は4万円(100日間ライセンス、税別)となっている。

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