「GoTo」一斉停止で大打撃 長崎県内観光地、今後に不安

昼食時に長崎新地中華街を行き交う観光客ら=長崎市新地町

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」が全国一斉に一時停止になった28日、県内の繁華街や観光地では大きな変化は見られなかった。前日までに本県入りした観光客らの姿があったためだが、宿泊施設の予約は年始にかけて大幅に減少。観光関係者は今後の影響拡大に気をもむ。長崎市では来年2月の一大イベント、長崎ランタンフェスティバルの中止も決まり、厳しい冬が続きそうだ。
 同市の長崎新地中華街。昼時になると観光客が行き交う姿が目立った。中華料理店、京華園の劉美昌取締役マネジャーは「(28日まではGoTo事業の)地域共通クーポンが使えたこともあり、停止初日はそれほどの影響がなかった。今後どれほど影響が出てくるのか」と不安げに語った。
 佐世保市のハウステンボスは通常の平日並みに観光客が訪れた。担当者は「今後はどうなるか分からない。状況を注視していきたい」と話す。九十九島パールシーリゾートは「年末年始はいつもは県外からの帰省客が多いが、今回はどうなるか」と懸念する。
 GoToは28日以降チェックインした宿泊、出発する旅行が割引の対象外となった。それでも長崎新地中華街を訪れていた山口県の学生、柴田さくらさん(19)と野村優衣さん(20)は「今年はコロナでどこにも行けなかった。学生最後の冬なので旅行したかった」と話す。
 NTTドコモのデータによると長崎、佐世保両市の計3地点で28日の人出は前日より増えた。特に長崎市浜町のアーケードは23.2%増。帰省シーズンに入ったことや観光客らの往来が影響したとみられる。
 一方、GoTo停止で打撃を受けているのが宿泊施設だ。例年、年末年始はどの旅館も満室になるという雲仙市の雲仙、小浜の両温泉街。一時は予約で満杯となっていたが、停止発表を受けてキャンセルが相次いだ。新たな申し込みもあるものの、年末の寒波予報も重なり、多くの旅館で3分の1程度しか埋まっていない。停止期間の11日まで予約数組という旅館もあるという。
 小浜温泉旅館組合の本多伸吉組合長は「想像以上の大打撃。休館が相次いだ春の大型連休に近い状態」と嘆く。壱岐市内のホテルでは宿泊予約の9割がキャンセルになったという。
 長崎市のホテルニュー長崎も停止期間中の予約が半数以下に減った。週末を中心に高い稼働率になるランフェスの中止も決まり、担当者は「予約が入るのを期待した矢先の中止決定で影響は大きい」と肩を落とした。

 


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