隣県球児と全国の舞台へ 松浦、平戸の7選手「プレーで恩返しを」 硬式野球の佐賀玄海ボーイズ

佐賀の選手と一緒に白球を追う佐賀玄海ボーイズ所属の長崎在住選手=佐賀県玄海町、玄海みらい学園グラウンド

 硬式ボールを使用する日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)の佐賀玄海ボーイズに、松浦市と平戸市の選手7人が所属している。都市部に比べて中学硬式野球のすそ野が狭い地方。送り迎えなど家族の協力を受けながら、隣県の球児と一緒に来春の全国大会出場権をつかんだ。
 ソフトボールや軟式野球が盛んな長崎県。一方で中学硬式野球はボーイズリーグのほか、日本リトルシニア中学硬式野球協会、九州硬式少年野球協会(フレッシュリーグ)、日本ポニーベースボール協会-と異なる組織が混在している。チーム数はすべて合わせても20に満たない。
 プロ野球広島のエース大瀬良大地(桜が原中、長崎日大高出身)をはじめ「軟式」出身選手も甲子園やプロの世界で数多く活躍している。ただ、早い段階から「硬式」でのプレーを求める人も少なくないのが現状だ。
 佐賀玄海ボーイズの県内在住者は、鷹島中2年の山下璃恭と丸山朝陽、志佐中2年の山下大翔と廣島咲介、福島中1年の松下凛也、調川中1年の熊本理人、田平中1年の畑原陽友。学校の同級生は18人という山下璃や丸山が暮らす松浦市の鷹島には、軟式を含めて小中学生の野球チームがない。「やりたい」と希望する子どもたちの選択肢は、おのずと限られてくる。
 チームは11月に佐世保市などで行われた第51回春季全国大会(来年3月末・首都圏)西九州支部予選で初優勝。最優秀選手賞の山下璃、俊足巧打で捕手の山下大を筆頭に、県勢も勝利に貢献した。
 練習は週5日。「子どものためなら」と保護者は送り迎えなどでそれを支える。あいさつや整理整頓などの礼節指導も厳しいチーム。現在、冬場の基礎トレーニングに励みながら、全国の舞台へ心身両面で成長中だ。

長打力が持ち味で、チームの主将も務める山下璃=佐賀県玄海町、玄海みらい学園グラウンド

 佐賀県の選手もいる中で主将を務める山下璃は「近場で野球をできるのがここしかなくて、挑戦したかった。プレーで親に恩返ししたい」と気合十分。今夏の高校野球県大会で準優勝した鹿町工に兄がいる山下大は「兄に負けず、上に向かって強い気持ちで頑張る。全国では元気の良さを見せたい」と意気込んでいる。

 


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