長崎市の伊王島に漂着し、市が所有者を探していた「不動堂」と書かれた看板が、同市鹿尾町の鳴瀧山観音寺で不動明王をまつるお堂に掲げられ、今年9月の大雨被害で流出したものだったことが分かった。情報提供を呼び掛けた26日付本紙の報道で、寺の関係者が伊王島に流れ着いたことを知った。28日に関係者が市伊王島地域センターを訪れ、3カ月半ぶりに返還された。
寺によると、市南部を中心に記録的な大雨に見舞われた9月12日、近くの川が氾濫。不動堂も浸水被害に遭い、看板も行方が分からなくなっていたという。寺と伊王島とは直線距離で約10キロ。同センターの関係者らは、発見時期や看板の状態から、外洋に出た後、島に流れ着いた可能性もあるとみている。
看板は約30年前にお堂を建てた時に設置。寺はもう見つからないと諦め、新しいものを用意しようとしていた。26日に参拝者から知らせを受け、本紙の記事を読んだ諸山照英住職(63)は「うちのに間違いない」と確信。28日にセンターに連絡した。
同日、地元自治会長の高田正男さん(71)が、諸山住職と諸山明生副住職(26)に看板を手渡した。諸山住職は「戻ってきてよかった。長年お堂でささげてきた祈りは看板にも吹き込まれていて、このようなご縁につながったのだろう」と“再会”を喜んだ。