「学力じゃなくコロナのせいで…」 コロナ第3波拡大 大学受験控え神経とがらす

今年で最後となった大学入試センター試験で試験開始を待つ受験生=2020年1月18日、長崎市、長崎大

 本格的な大学入試シーズンを前に、長崎県内でも新型コロナウイルス感染症の第3波が広がり、受験生や保護者が警戒を強めている。大学側は感染防止策を徹底し、追試験も準備するが、受験生は「一生を左右する問題。感染しないか不安」と神経をとがらせている。
 「学力じゃなくコロナのせいで浪人してしまうかもしれない」。長崎市の女子高校生(17)は胸の内を明かす。大学入試センター試験の後継で、初回となる大学入学共通テストは、来年1月16、17日に第1日程が実施される。「先生からは試験前に感染したら終わりだ、1年追加だぞ」などと言われ、自身や周囲の人の感染が気掛かりだ。
 試験は新型コロナの影響で変則日程となる。春の一斉休校の影響で学習が遅れていると学校側が認めた現役生は同30、31日の第2日程を選択できる。感染などで第1日程を受験できなければ第2日程を、第2日程の受験者は2月13、14日に特例追試験を受ける。
 共通テストの試験会場では、座席の間隔を1メートル程度確保し、マスクの常時着用や換気を徹底。発熱やせきの症状がある受験生、無症状の濃厚接触者には別室を用意する。昼食時は受験生の接触を避けるため、持参した昼食を自席で食べることになる。
 2次試験では県外の大学を受験する生徒も多い。関東の大学を受ける男子生徒(18)は「自分が感染しないか、学校に戻って感染源にならないか心配だ」という。推薦入試では自宅でオンライン受験をしたが、「機器のトラブルに遭い、集中できなかった」「共通テストのスタートとコロナのダブルパンチで力を発揮できるのか」と不安は尽きない。
 感染状況次第では2次試験が中止になる可能性もある。その場合、共通テストの結果や願書で合否を判断する大学もある。男子生徒の父親(46)は「子どもの頑張りが無駄になりかねない」と漏らす。
 佐世保市でも感染者が増えている。国公立大を受ける男子生徒(18)の母親(45)は小中学校関係者の感染に触れ、「今は感染リスクを少しでも減らしたい。行動歴などもっと明らかにしてほしい。とにかく感染せず無事に終わってほしい」と緊張の日々が続く。
 長崎大入試課は、家庭内感染が増えていることも踏まえ、「受験生だけでなく、保護者も含めて家庭での感染防止意識を持ってほしい」と呼び掛けている。


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