GoToトラベルのあり方に各業界から不満の声も

コロナ禍、全国の観光業は大変厳しい環境下におかれていて、政府は観光業を救うべく7月22日から「GoToキャンペーン」を開始した。本来なら皆が足並みを揃え、広くその恩恵にあずかるべきだが、県内・外問わず一部企業が、同業他社を「だし抜く」形でGoToキャンペーンを利用しているのではないかという不満の声が関係者の間で広がっている。

GoToキャンペーンが施行される以前、未曾有の新型感染症の流行により、どの観光施設でもキャンセルが相次いで経営が逼迫、次の一手を模索している状況にあった。そんな中、新潟県上越地域に施設を構えるとある高級旅館は「宿泊料値上げ」という常識はずれな一手を決行した。すると、あろうことか「待ってました」と言わんばかりに政府からGoToキャンペーンの発表がなされ、なんとこの常識外れな値上げが吉と出た。

実はこの某高級旅館は、新潟県で行う地域観光政策などにも深く関わりがあり、関係者からは「元々何らかのスジからGoToキャンペーンの存在を知っていて、普通だったらまずあり得ない値上げを行ったのではないか」という批判的な噂が持ち上がっているという。

旅行業登録を受けているタクシー会社が「タクシー送迎付きの日帰りディナープラン」を宿泊施設と連動し企画、GoToトラベルの適応を受けるツアーパッケージにして恩恵を受けているという例も少なくない。

反面、そうでないタクシー会社がこれから旅行業を取得し、パッケージを一から作り上げるというのは、ハードルが高く、こうした動きに、旅行業の申請を受けていなかったタクシー会社からは「ただの送迎付きの飲み会にGoToトラベルを適用できるのは不公平ではないか」という不満の声が上がっている。

「コロナ禍で経営が逼迫しているのは何も、旅行業や飲食業だけではない。タクシー業界も同じようにコロナ不況の影響を大きく受けているというのに、GoToトラベル施行前の旅行業の登録の有無によって、大きく営業に差が出てしまうのは如何なものか」とある事業者はため息交じりに語った。

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GoToキャンペーンは、多くの観光業を実際に救った一方、GoToキャンペーン施行以前の各社の運営体制によって、業界内で取り残されてしまった事業者がいたこともまた事実と言える。現在、GoToキャンペーンは一時中断されており、来年1月12日に再開予定となっている。もし再開した際は業界内での不均衡をきたさぬような配慮を期待したい。

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