蝶野正洋「安田忠夫と比べたら、黒川前東京高検検事長も〝エセ〟ギャンブラーだな」

蝶野正洋

いろいろありすぎた激動の2020年も残すところ、あとわずか。プロレスラーの〝黒のカリスマ〟蝶野正洋(57)がそんな今年の出来事をブッタ斬ります。最終回はコロナ禍の1年で瞬間的に異様な盛り上がりを見せた、あの話題です。

【蝶野正洋2020年を斬る(最終回)】オスッ、蝶野だ。コロナのせいで世の中が一変してしまった2020年だったけど、個人的に面白かったのは、黒川弘務前東京高検検事長が賭け麻雀で辞職した件。これはマスコミの〝仕込み〟だったんじゃないのか(笑い)。

それはともかく、当時の俺は世間で言われてるのとは逆で、これ以上官僚に力を持たせたくない安倍(晋三前首相)さんが、わざと黒川さんの麻雀好きっていうカードを切って(公務員の定年延長)法案を先送りにしたんじゃないかとみていた。ま、年末の安倍さんのありさまを見ると、違ったのかもしれないけどな。

正直な話、プロレスラーにもギャンブル好きは多いよ。ひと昔前はみんな「飲む、打つ、買う」をやってたけど、やっぱり一番はヤス(安田忠夫=引退)じゃないかな。

昔、済州島(韓国)に行った時、ヤスは三日三晩カジノに行きっぱなしだった。出発の時間になっても来なくて、人から金借りて、まだカジノで遊んでた。そうしたら、ラスト30分くらいで大逆転。借りた金を返して、さらに100万くらい儲けたんだけど、あいつは持ってたら使っちゃうから「換金もできるし、免税店でロレックスでも買っとけ」って言ったんだよ。

帰国便が別だったから、翌日に道場で会った時に「ちゃんと買ったのか」って聞いたら「いえ」って落ち込んでるんだ。どうしたのかと思ったら「競輪で全部スリました。調布から歩いて帰りました」って(笑い)。

でも、ヤスに言わせれば、カネがなくなるまで運があるのかないのかを試すのがギャンブラーなんだって。何かを残すためにやってるのはギャンブルじゃないそうだ。

そう考えると、黒川さんなんて、ヤスに比べたら大したことないよ。退職金もガッポリもらってるんだろ? 彼をギャンブラーと呼ぶなら、ギャンブルで人生すべてを失った人に失礼だよ。ヤスに比べたら〝エセ〟ギャンブラーだな。

それじゃ、この連載もはここまで。来年はいい年になるといいけど、コロナの状況を見るにどうだかな。ガーーッデムッ! アイアム・チョーノ! =終わり=

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