新型コロナ「ステージ」「フェーズ」 二つの違いは?

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長崎県は感染状況に応じた適切な施策実施や、必要な病床確保の目安として「ステージ」「フェーズ」の二つを策定しています。県への取材を基に、二つの違いを整理しました。

 -ステージとは。
 県内の感染状況に応じて、必要な対策を実施するための目安で、8月の政府の分科会の提言を受けて策定されました。「1=感染者の散発」~「5=県内全域での急速な増加」の5段階に分け、ステージごとに取り組む施策をあらかじめ決めています。提言は4段階でしたが、長崎県は離島が多いことなどを踏まえ、独自に「特定圏域や業種での急速な増加」を「4」として設け、5段階にしました。

 -どういう状況になれば、ステージは上がるの。
 「確保病床占有率」「新規報告者数」など六つの判断指標に基づき、医師ら専門家の意見などを踏まえて判断します。「5」では県独自の緊急事態宣言が出され、休業要請やイベントなどの自粛要請が出されます。「4」では、「5」の施策を圏域や業種に応じて前倒しで実施します。

 -一方、フェーズとは。
 「ステージ」とは全く別物で、主に医療機関向けの指標です。感染状況に応じて必要な病床を確保するためのものです。感染者がいない状態の「0」を含めると「4」までの5段階で、それぞれの段階で、県内八つの2次医療圏ごとに確保する病床数を決めています。確保病床占有数や感染者数の増加に応じて、県本土(長崎、佐世保県北、県央、県南の4医療圏)は全体で、離島の五島、上五島、壱岐、対馬の各医療圏はそれぞれ移行します。県は国の「新たな流行シナリオ」を基に感染ピーク時の入院者数を286人と推計。「4」では、それを100以上上回る395床(35病院)を確保する計画です。

 -フェーズの目的は。
 新型コロナ患者を受け入れる医療機関に過度に負担をかけず、必要なだけ病床を確保することで一般医療との両立を図ることです。各医療機関は次の段階で確保すべき病床数が決まっているため、感染状況を見ながらあらかじめ病床拡充の準備ができます。フェーズが上がる際は、県が各医療機関に要請し、通常1週間程度で病床が確保されます。


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