【なでしこジャパン】高倉監督が感じたイレブンの変化「明らかに目の色が変わった」

日本代表・森保監督(左)となでしこジャパン・高倉監督

サッカー女子のなでしこジャパンを率いる高倉麻子監督(52)が報道各社の合同インタビューに応じ、7月開幕の東京五輪に臨む現在の心境を語った。

――新型コロナウイルス禍の中で考え方など変わったことは

高倉:時間がある中で本を読む時間がすごく多かった。海外のサッカーの指導者やチーム、歴史とか改めて勉強した。どのようにチームづくりに生かしていくか。蓄えたものが少しでもあったと思うので、よりよい形で選手や女子サッカーに落とし込んでいけるようにしたい。

――選手たちが代表の自覚を持ってきたと感じる部分は

高倉:すべての選手に「リーダーシップを発揮してほしい」と言ってきた中で、23、24、25歳くらいの選手たちが代表に入って2、3年たって経験を重ねる中で自分がやっていかなきゃいけないと、プレーだけでなく周りに対して話をしたり余裕が出てきた。選手がチームを動かすようになれば強くなる。自覚と責任が行動に表れるようになってきた。

――五輪本番までコンスタントに合宿ができる一方で、秋からWEリーグが開幕するため五輪前にリーグ戦がない

高倉:月1回、選手を(代表に)呼べる形になっている。時間が少ないのが悩ましいところだが、そういった意味では、いつもより多く選手を呼べてチームとしては完成度が高くなっていく。対外試合やトレーニングマッチも取り入れながら試合を重ねていきたい。試合勘がどうこうというのはあまり気にしない。うまく調整できればと思う。

――昨年、印象に残っている出来事は

高倉:DF熊谷紗希(30=リヨン)が欧州チャンピオンズリーグ決勝で得点する〝大事件〟があった。彼女は代表では100試合以上、点を取っていなかったのに。日本人選手の大きな希望になったし、それを引っ張り続けている彼女には本当に突っ走っていってほしい。あとは合宿で本当にみんな明るかった。取り組み方がポジティブだった。活動を再開して選手がサッカーをできる喜びの熱を感じる合宿になった。明らかに選手の目の色が変わって、また五輪に向かって進んでいくという思いをグラウンド上で感じた。

――若手への期待

高倉:(昨秋の)2回の活動で様々な選手、可能性のある選手を呼ぶ中で、予想以上のパフォーマンスを出してくれてうれしい誤算だった。未来に向かって力強く進んでいける。米国遠征(2月)で海外の強豪と試合ができるので、可能性がある選手を使って国際試合で通用するかを見る。

――男子代表の森保監督は同い年。どのような存在か

高倉:協会で顔を合わせた時は話をするし、代表監督として置かれている立場、難しい立場として森保さんは、さらに大きなプレッシャーを受けていると思うが、とてもマイペースで自分の信じた道を進んでいる芯の強さは感じている。お互いに本当に頑張っていこうといつも話をする。

――なるほど

高倉:日本の進むべきサッカースタイルなど、ちょっとしたサッカー談議を森保さんやコーチ陣とする。みんなが日本のサッカーのスタイルをつくり上げている。見える結果がないといろんな意味で揺らぐので、そのハンドルを握っている私たちがブレずにしっかり握って、進むべき方向を示していければいい。少し進路変更もあるけど、それもつくり上げる途中の作業。ブレずに強く進んでいければいい。
(終わり)

© 株式会社東京スポーツ新聞社