東京五輪代表に決まっている県勢の中で、唯一の2大会連続出場となる柔道男子81キロ級の永瀬貴規(旭化成、長崎市出身)。前回の銅メダルを金メダルに変えるため、右膝の大けがやコロナ禍の試練も糧に成長を続ける27歳に、2021年の決意などを聞いた。
-2020年を振り返って。
東京五輪代表に選んでいただいたが、コロナ禍で五輪が延期に。柔道ができない期間が続き、日常生活も制限されるなど、考えさせられた。山あり谷ありだったけれど、いろんな意味で“充実”した1年だった。
-“充実”と前向きに捉えられる理由を。
いい経験も悪い経験も糧にしていかないといけないと思っている。のちのち振り返ってみたときに「あの経験があったから」と言いたい。だからこそ、成長できると思っているので。
-2月の国際大会以来、試合がない状況。どんな準備をしているか。
4月から続いた柔道ができない数カ月間は割り切って、筋力やスタミナの維持に重点を置いてトレーニングしてきた。夏にようやく柔道ができるようになって以降は、自分の柔道の幅を広げる取り組みをしている。
-具体的には。
チャレンジしている技もあるし、組み手もバリエーションを増やしている。五輪が延期になってできた時間を無駄にせず、自分の限界を止めずにもっともっと成長していきたい。まだまだ強くなれると思っている。
-モチベーションをどう保ってきたか。
「東京五輪で金メダル」という目標をぶらさずにやってきた。柔道ができずに先の見通しが立たなくても、きょうの課題、今週の目標など、目に見える部分に地道に取り組むことが次に生きてくる。そう信じて過ごしてきた。そして、いろいろな方の応援の力が自分を後押ししてくれている。
-仕切り直しの五輪イヤー。あらためて意気込みを。
前回のリオデジャネイロ五輪の悔しさは今も忘れていない。それを晴らすため、東京で勝つために厳しいトレーニングや稽古に励んできた。いろいろな方に支えられて今の自分がある。その方々に感謝の気持ちを込めて恩返しできるように、五輪で必ず優勝したい。
-地元の人たちへ伝えたいことは。
コロナ禍で苦しかったり、なかなか思うように活動できなかったり、不安を抱えている方も多いと思う。東京五輪が開催されたときに、私が戦う姿や勝つ姿を見て「五輪が開かれてよかった」「あいつが頑張っているから、私たちも頑張ろう」と思ってもらえるような試合がしたい。金メダルを取って、長崎へ報告しに帰りたいと思っているので、引き続き応援よろしくお願いします。
【略歴】ながせ・たかのり 長大付小1年時に養心会で柔道を始め、長大付中から長崎日大高に進学。個人81キロ級で春夏計2度の高校日本一に輝いた。筑波大2年でユニバーシアードを制し、4年の世界選手権で県勢初優勝。翌年の2016年に旭化成へ入社して、リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得した。17年秋に負った右膝の大けがを乗り越え、19年は国際大会を4連続制覇している。181センチ。