2021年 長崎県内経済「回復」予想 コロナ禍、「悪化」と二極化も

新年の長崎県内経済の見通し

 十八親和銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎市)が県内主要企業・団体トップ100人にアンケートした2021年県内経済見通しは、「回復」予想から「悪化」予想の割合を差し引いた判断指数(DI)が7となり、前年に比べ11ポイント改善した。新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだ景気が持ち直すとみる向きが強く、2年ぶりにプラス圏に戻る。
 20年は人手不足などを背景に7年ぶりにマイナス水準に落ち込む予測だった。同研究所の泉猛主任研究員は「20年を底に地域経済や自社業績の回復を見込む企業と、21年の見通しが立っていない企業に二極化している。感染拡大に対する懸念や不透明感はいまだ強い。経済活動がコロナ禍以前の水準に戻るには時間がかかるが、ワクチンや治療薬の開発・普及後は徐々に活発化するだろう」と分析した。
 「横ばい」と答えた割合が前年比22.6ポイント減の33%と大きく下がった分、「回復する」「悪化する」がどちらも伸びた。
 最も多かった「やや回復する」は14.8ポイント増の35%。前年に回答企業が全くなかった「回復する」も2%あった。JR長崎駅周辺にMICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」と高級ホテル「ヒルトン長崎」が11月に開業。県都・長崎市のまちづくりが進展し、交流人口拡大に期待する声が寄せられた。
 一方、「悪化する」も前年の回答企業数がゼロだったが、今年は8%に上った。「やや悪化する」は2.2ポイント減の22%。コロナ禍による売り上げ減少や借入金の増加をはじめ、基幹産業の観光業と造船業の低迷、人手不足の慢性化、人口減少・少子高齢化が懸念要素として挙がった。
 国内経済見通しDIは11.9ポイント増の21%に上った。国内でも接種が始まるワクチンの早期普及のほか、政府の経済対策、今年7~9月に延期された東京五輪・パラリンピックの効果が注視されている。その半面、感染の再拡大と長期化、米中対立の激化を危惧する見方も根強い。
 アンケートは毎年12月に選択式と記述式で実施。業種別の内訳は製造26、運輸8、水産2、建設8、卸売11、小売12、電力・ガス・通信4、サービス16、その他13。


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