【体操】内村航平に特別扱いなし 五輪3大会連続金メダルには国内〝ガチバトル〟から

会見で笑顔を見せる内村航平

体操男子で五輪個人総合2連覇の内村航平(31=リンガーハット)が試練の2021年を迎える。20年12月の全日本選手権(高崎アリーナ)では鉄棒決勝で過去3年の世界選手権金メダルを上回る15・700点をマーク。圧倒的な演技で優勝を飾り「キング、ここにあり!」を見せつけた。

東京五輪出場へ期待が高まるが、すんなりと出場できるほど甘くはない。鉄棒に専念する内村には団体メンバー入りを熱望する声もある中、現実的には種目別の「個人枠」(最大2枠)を目指すことになる。種目別のW杯でポイントを重ねて自力で出場枠を確保する方法もあるが、内村は出場大会が足りないため不可能。そうなると国内選考で勝ち抜くしかない。まずは内村以外の日本選手が個人総合W杯とアジア選手権で「国」として新たに個人枠を取り、その上で鉄棒の宮地秀享(26=茗渓クラブ)、あん馬の亀山耕平(31=徳洲会)、跳馬の米倉英信(23=同)らスペシャリストたちと枠を競うのだ。

肝心の選考基準は新型コロナウイルス禍によって白紙。今後の理事会で決定されるが、思い出されるのは19年の世界選手権代表で女子エースの村上茉愛(24=日体クラブ)を〝特例〟で選出しようと物議を醸した一件だ。当時、理事会が大紛糾した経緯もあるだけに、日本体操協会の遠藤幸一常務理事は「不透明な基準ではなく、明確なものになると思う。抽象的な基準では確実に問題が起きます」、別の協会関係者も「内村選手だからといって特別扱いはしない」と指摘している。

五輪3大会連続金メダルを目指す体操界のキングも、まずは国内の〝ガチバトル〟に勝たないと先はない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社