「大卒ルーキー」がスゴかった今季!活躍した10選手を選出してみた

2020シーズンのJリーグはYBCルヴァンカップ決勝を除くすべての日程が消化され、無事コロナ禍を乗り越えて幕を閉じた。

J1は川崎フロンターレが圧倒的な力を見せて史上最速優勝を果たし、JリーグMVPに選出されたマイケル・オルンガが28ゴールの大暴れと見応えるのあるシーズンだった。

その中でも今季、大卒の新人選手たちが各クラブで輝きを放った。

そこで、例年でも稀に見る豊作と言われる大卒ルーキー10選手をリストアップ。ここから海外に羽ばたく選手が出るかもしれない、来季の活躍も期待大な選手たちを紹介する。

鹿沼直生(SC相模原)

ポジション:MF、身長体重:174cm/73kg、成績:34試合3得点4アシスト、出身大学:専修大

J3相模原のJ2昇格の原動力となった鹿沼は、圧倒的なパフォーマンスを披露した。

全34試合でフル出場を果たし、豊富な運動量で攻守に存在感を見せてルーキーながら相模原の心臓として大活躍。38本のシュートを放つなどアグレッシブなプレーも光り、3得点4アシストと堂々の成績を残した。

J3の大卒新人では傑出したプレーを見せた鹿沼が来季J2で躍動する姿を見逃すな。

加藤陸次樹(ツエーゲン金沢→セレッソ大阪)

ポジション:FW、身長体重:178cm/69kg、成績:42試合13得点3アシスト、出身大学:中央大

金沢で大爆発した加藤は今季J2全試合に出場し、チーム得点王となる13得点(J2得点ランキング6位)を記録。チームは18位と振るわなかったが、スーパールーキーの得点量産は明るい話題となった。

ゴール前での冷静さ、懐の深さを生かしたポストプレーに、ハードワークも難なくこなす献身性と万能型CFだ。広島ユース時代に高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグWESTで得点王に輝くなど非凡な存在だったが、大学進学後はその得点感覚がさらに磨きがかかった。

セレッソ大阪への加入が決まり、来季はJ1の舞台で真価を発揮する。

森下龍矢(サガン鳥栖→名古屋グランパス)

ポジション:DF、身長体重:170cm/65kg、成績:33試合3得点2アシスト、出身大学:明治大

圧倒的なスプリント能力と勇猛果敢な攻撃参加で違いを見せた森下は、U-23日本代表候補に選出されるなど波に乗っている。第17節横浜FM戦で記録した42回のスプリントは、リーグ1位タイと圧倒的な走力を見せつけた。

明治大4年時は全国大会大学2冠と常勝軍団の中核として活躍し、ユニバーシアード制覇にも貢献。両足を難なく使いこなし、3得点の内2得点を左足で決めた。

名古屋グランパスの移籍が決まり、来季はクラブ初のアジア王者を目指してサイドを駆け抜ける。

林大地(サガン鳥栖)

ポジション:FW、身長体重:178cm/74kg、成績:31試合9得点、出身大学:大阪体育大

ビーストの愛称通り、野性味あふれるゴールへの嗅覚は驚愕の一言だ。

先発10試合と少ない出場機会の中で、チームトップの9ゴールをマーク。決定率が高いシュート精度、鋭いオフザボールが光り、ポストも守備も泥臭くこなす献身性にも優れている。

チームが苦しむ中で圧倒的な存在感を見せつけた新生エースストライカー。日本を代表するビーストになれる日も近いかもしれない。

田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌)

ポジション:DF、身長体重:183cm/68kg、成績:31試合2得点1アシスト、出身大学:大阪体育大

大阪体育大4年時に日本代表選出された新星は北の大地で確かな足跡を残している。

空中戦、対人守備能力に優れており、足元の技術も◎。ボランチ、SB、CBと守備的ポジションをすべてこなせるポリバレントな能力にも長けている。

今季は同期入団のMF金子拓郎(日本大卒)、 MF高嶺朋樹(筑波大卒)らとともにミシャサッカーの軸として奮闘した。U-23日本代表候補にも選出され、東京五輪出場にも期待がかかる。

傑出した守備力を持ったマルチロールの活躍から目が離せない。

山本悠樹(ガンバ大阪)

ポジション:MF、身長体重:173cm/64kg、成績:29試合2得点2アシスト、出身大学:関西学院大

大学屈指とうたわれた技巧派ボランチは今季G大阪の中盤で躍動した。

敵陣を切り裂くようなスルーパスとゲームを作るショートパスを巧みに使い分け、チームの攻撃を活性化。そして時折見せるすり抜けるようなドリブルでチャンスを演出した。

まさにタクトを振るう指揮者のように、西の新司令塔は創造性あふれるゲームメイクを見せた。

大学時代はユニバーシアード金メダル獲得に貢献し、2018年の天皇杯2回戦では2-1でG大阪から金星を奪う立役者となった。今季はリーグ戦2位の原動力となったが、来季はチームの軸としてリーグ優勝をつかみ取る。

旗手怜央(川崎フロンターレ)

ポジション:FW、身長体重:171cm/70kg、成績:31試合5得点4アシスト、出身大学:順天堂大

圧倒的な強さを見せた川崎の攻撃陣で存在感を発揮した旗手。当たり負けしないフィジカルに、推進力のあるドリブル、弾丸のようなミドルシュートと前線に力強さを与えた。

さらに戦術理解力にも優れ、SBなどチームの要求に応じて様々なポジションを難なくこなす。泥臭い仕事から、美しいパスワークまで。数字としてもプロ1年目で5得点4アシストを記録した。

同期の三苫薫が脚光を浴びたが、旗手の存在がなければ今季の快進撃は起きなかっただろう。来季もパワフルなプレーで、常勝川崎を支える。

安部柊斗(FC東京)

ポジション:MF、身長体重:171cm/67kg、成績:27試合2得点3アシスト、出身大学:明治大

FC東京下部組織出身の安部は、明治大でたくましく育って帰ってきた。

圧倒的な運動量を誇り、第32節仙台戦ではインサイドハーフで先発して38回のスプリントを記録。数字以上の貢献をしており、果敢な攻撃参加と献身的な守備でチームの攻守に活力を与えた。

闘志あふれるダイナミックなプレーだけに終わらず、冷静に相手の急所を突く。ACLグループF第4節の上海申花戦では値千金のゴールを決めるなど、大舞台での強さも証明。今季の活躍を受けてU-23日本代表候補にも選出された。

明治大4年時はチームの核として総理大臣杯、インカレの大学2冠を達成。次はFC東京の屋台骨として多くのタイトルを勝ち取る。

松尾佑介(横浜FC)

ポジション:MF、身長体重:170cm/65kg、成績:20試合7得点2アシスト、出身大学:仙台大

2019年、流星のように突如J2に現れたシンデレラボーイは21試合6得点5アシストと特別指定選手ながら横浜FCの攻撃をけん引し、チームをJ1昇格に導いた。

今季も爆発的なスピードと傑出した決定力でチームの核に。第19節の浦和戦では2得点を決めるなど輝きを放った。

第22節の仙台戦で負傷離脱して以降ピッチに復帰できなかったものの、20試合で7得点2アシストは圧巻の数字だ。

自身のインスタグラムではシックな私服コーディネートを見せるなどファンサービスも旺盛。横浜のおしゃれ番長に来季の活躍を期待したい。

なお、Qolyは仙台大在籍時の単独インタビューを行っている。

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三笘薫(川崎フロンターレ)

ポジション:MF、身長体重:178cm/71kg、成績:30試合13得点12アシスト、出身大学:筑波大

J1史上新人最多タイ得点とアシスト数リーグ1位で川崎の攻撃の核となった三苫は何もかもが別格だった。

力強い推進力と繊細なタッチを兼備したドリブル突破は圧巻の一言。優れた状況判断に、正確無比なシュートフィーリングを持つウルトラルーキーの存在は川崎を除く全チームにとって脅威でしかなかった。

大卒ルーキーで唯一Jリーグベストイレブンに選出され、その形容しがたい活躍はMVPに匹敵するものだった。

今後五輪代表、日本代表としての活躍も期待され、海外クラブも黙ってはいないだろう。国内2冠、チーム初の天皇杯優勝を決める決勝ゴールとあれば、来季も圧倒的なプレーを披露するだろう。

この他にもFC東京の中村帆高、北海道コンサドーレ札幌の金子拓郎、横浜FCの瀬古樹、V・ファーレン長崎の毎熊晟矢らと紹介したい大卒新人選手は多くいる。

あるJリーグ関係者も「20年に一度出るか出ないかの優れた世代。今後芽が出る選手が続々出てくると思う」と称えていた。今後も2020年シーズンの大卒選手たちから目が離せない。

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