ソフトバンク・周東を24歳で輝かせた父・孝宜さんの〝非スパルタ教育〟

昨季は盗塁王に輝いたソフトバンク・周東

常勝ソフトバンクの新リードオフマンに成長した周東佑京内野手(24)。彗星のごとく球界に登場したが、その原点は幼少時代の〝非スパルタ教育〟にある。

小学2年で野球を始めた周東。友達が熱中するゲームなどには見向きもせず、野球だけに打ち込んだが、当時の様相を父・孝宜さん(55)が明かす。「とにかく小さい頃は体を酷使しないように、本人には『投げるな』『体を守れ』と口酸っぱく言い聞かせました」。練習をしたがる息子を制するのに苦労したという。孝宜さんには信念があり「才能がどんなにあっても、輝く前に潰れたら元も子もない。野球少年の一番最初の夢は高校野球。そこで輝かせてあげたい思いがありました。私はそこまで行けませんでしたから」。投手だった孝宜さんは中学で野球を引退した。理由は投げすぎによるひじの故障。「上に行くためには目立つことも大事ですが、壊れたらおしまい。野球人としてはそれが一番惜しい」と話す。

また、周東は小学高学年まで水泳にも励んでいた。筋が良く「選手コース」に進めるほどの腕前だったそうだが、ここにも孝宜さんの狙いがあった。「水泳をやらせたのは故障予防の一環でした。体が丈夫になりますし、肩回りの可動域にも生きる。野球にもつながる体力強化や動きがある」との考えからだ。

大きなケガなく成長期を迎え、身長が伸びると同時に快足に磨きがかかり「高校野球で引退」を決めていた少年は、大学野球、プロへと進み今に至る。「野球をやらせてくれた親への感謝を忘れることはありません」。2021年シーズンも驚異の活躍を決めてくれそうだ。

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