マスク姿の成人式 時間10分、間隔確保… 長崎・東彼杵町、新上五島町

帰省できなかった友人とテレビ通話する新成人=東彼杵町

 「何げない日常の幸せに気付かされた」-。長崎県の東彼東彼杵町の成人式が3日、同町彼杵宿郷の町総合会館で開かれ、新成人代表が言葉に力を込めた。新型コロナウイルス感染拡大の第3波が急速に広がり、県内自治体のほとんどが式の中止や延期を決めた中、唯一開催した。式典は10分足らずに短縮。感染対策で様変わりした「大人の門出」を、マスク姿の新成人が祝った。
 町内の新成人87人(男41、女46)のうち62人が出席。町によると、開催について町民から賛否両方の意見が寄せられた。出席者の約8割が町内在住だったため、開催した。入り口のサーマルカメラで検温し、座席は一定間隔を空けて指定。保護者の入場も制限した。岡田伊一郎町長は式辞で会食の自粛を求めた。
 新成人代表としてあいさつに立った川原優心さんは看護師を目指して専門学校で学ぶ現状を報告。「コロナ禍であらためて求められている職業。病院実習も難しい状況だが、日々まい進する」と誓った。
 式典後の記念撮影では保護者らが密集しないように規制ロープが張られた。カメラマンは「マスクを外したい人はどうぞ。強制はしません」と呼び掛けながら、シャッターを切った。
 新成人の音辻帆摩礼さんらは、韓国に留学中の同窓生、川端南央さんにテレビ電話で様子を伝えていた。川端さんは「帰国するつもりだったが県内で感染が広がりやむを得ず控えた。帰国できた時にみんなで祝いたい」、音辻さんは「短くても成人式を開いてくれて感謝している」とそれぞれ話した。
 一方、新上五島町では同日、今里地区の成人式が同町今里郷の町立今里小で開かれた。新型コロナ感染拡大防止で町の式が中止になったことを受け、同校卒業生の保護者らが企画。6人(男1、女5)の門出を祝った。
 新成人が同校卒業時に校長を務めた山田恵さん(62)が祝辞。新成人はそれぞれ決意表明し、活水女子大2年の宮﨑真彩香さんは「親や地域の温かさを実感した。感謝の気持ちを忘れず、周りの人のため動ける大人になりたい」と話した。

誓いの言葉を述べる新成人たち=新上五島町立今里小

© 株式会社長崎新聞社