複数の監督が守備シフトの制限を主張
2020年8月18日(日本時間19日)、レンジャーズ対パドレス戦で世にも珍しいプレーが起こった。本塁ベースから282フィート(約86メートル)離れた右翼ライン際で、パドレスの「三塁手」マニー・マチャドが大飛球を背走しながらキャッチ。スタットキャストで測定された内野フライの中で、史上最長飛距離となる“サードフライ”が記録された。
これは守備シフトによる産物。データの活用が進むメジャーでは、打者の傾向を細かく分析し、守備位置を大胆に動かすシフトが積極的に行われている。この時のプレーも、マチャドはあらかじめ一塁手の遥か後方、外野芝上に陣取っていた。
このような守備シフトを制限しようという声が、複数の監督から挙がっている。米メディア「ジ・アスレチック」は「MLBはシフトを禁止すべきか? いかに野球を生き返らせるか監督たちが議論」と題し、守備シフトの是非について特集している。
近年の野球は三振と四球と本塁打ばかりで、魅力が減っていると複数の監督が問題視。その一因に守備シフトがあると指摘されているのだ。どうせシフトの網にかかってしまうなら、三振覚悟で一発を狙おう――という打者が増えているという主張だ。
2008年以降三振率は年々増加、昨季は全体の約4分の1が三振
実際、2008年以降メジャー全体の三振率は年々上がっており、2020年はメジャー全打席のうち、約4分の1が三振という結果に。打率も昨季は.245で、これはア・リーグがDH制を導入する前年の1972年以降で最低の数字だったという。
シフトの制限が、どれだけ効果をもたらすかは不透明だ。「試合中にもっと多くのアクションが必要だ」と主張するブルワーズのクレイグ・カウンセル監督も、シフト制限は「非常に小さな違いにしかならない」と否定的だった。
一方、ロイヤルズのマイク・マシーニー監督らは具体的なシフト制限の方法についても言及し、前向きな姿勢を見せた。二塁ベースの両側に内野手を2人ずつ配置することや、内野手を外野芝上に配置しないことを義務づけるといった案が挙げられている。
データの活用が進むとともに変化を続けるメジャーの野球。「野球のあるべき姿」が議論される中、守備シフトに「待った」がかかるのか注目だ。
【動画】ライトへの大飛球は“サードフライ”に…マチャドが見せた背走スーパーキャッチの実際の映像
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(Full-Count編集部)