水滴に取り込まれたアンドロメダ銀河 天文とアートのコラボレーション

水滴に取り込まれたアンドロメダ銀河(Credit: Massimo Tamajo)

冒頭の画像は接写レンズを使って、植物の茎からいまにも垂れ落ちそうな水滴を撮った写真です。しかし、よく見てみると、水滴の中に銀河が取り込まれているように見えます。水滴という「小宇宙」の中に銀河という「大宇宙」が捉えられているかのようです。

このイマジネーション豊かな作品は、茎から垂れ下がった水滴を通して見た銀河をイメージしたものです。この銀河は、天体写真家が望遠鏡などを使って好んで撮影するアンドロメダ銀河で、通称M31として知られています。直径が約10万光年にも及ぶアンドロメダ銀河の渦巻き状の腕や塵の集まった帯状の黒い筋が、わずか1cmほどの水滴の中では歪曲して歪んで見えています。

アンドロメダ銀河は約250万光年の距離にありますが、今回はアンドロメダ銀河の画像を室内で撮影した複製写真と、水滴の写真とを合成して作成されました。この画像はAstronomy Picture of the Dayに2020年3月27日付けで掲載されました。

一方2017年1月27日付けのAstronomy Picture of the Dayでは、金星が写し込まれた何滴もの水滴の画像が紹介されています。

水滴を通して見た金星(Credit: John Bell)

この写真は合成ではなく、木に固定されたガラス板上に水滴を置き、西の地平線上の金星(宵の明星)が水滴を通して撮影されました。ガラス板上の水滴は表面張力によってレンズ状になるので、それをうまく利用したのです。

天文とアートをコラボレーションした作品は、一般的な天体写真とは異なる趣きが感じられ、興味深いものです。

Image Credit: Massimo Tamajo , John Bell
Source: APOD(1)(2)
文/吉田哲郎

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