ERC:アンドレアス・ミケルセンが2021年シート獲得を発表。シュコダでフル参戦へ

 WRC世界ラリー選手権で優勝経験を持ち、複数のファクトリーチームで契約ドライバーを務めたアンドレアス・ミケルセンが、2021年に向けERCヨーロッパ・ラリー選手権のフル参戦プログラムを発表。待望のレギュラーシート獲得を「世界戦復帰への足掛かりに」すべく、トックスポーツWRTのシュコダ・ファビア・ラリー2エボで、ERC全8戦とWRC2へのエントリーを計画している。

 ノルウェー出身で現在31歳のミケルセンは、同世代のティエリー・ヌービルらとともにラリー界で頭角を表し、スター候補生としてWRCに昇格。シトロエン、ヒュンダイ、フォルクスワーゲンのファクトリードライバーとして活躍し、WRC通算3勝を記録したものの、その後の巡り合わせで世界選手権フル参戦の機会を逸する状況が続いてきた。

 世界がコロナ禍で翻弄された2020年はドイツのトップチームに席を得て、ERC第4戦のラリー・ハンガリーにスポット参戦。自身にとっても久々のフルターマック・イベントだったにもかかわらず、並いるレギュラー勢を抑えて勝利を飾る衰え知らずのスピードを披露した。

 この戦果を受け、トックスポーツWRTはミケルセンをエースドライバーに起用してのERC復帰を決断。ミケルセンは3月12日にポルトガルで開幕するERCの2021年シーズン全8戦で、シュコダのステアリングを握ることが決まった。

異例のカレンダーとなった2020年ERCでは、第4戦として開催されたラリー・ハンガリーでシュコダをドライブした
11月開催のターマック戦で、全16SS中7ステージを制しての完勝という、圧巻のスピードを披露した

■ミケルセンの目標は「ラリーを完全に支配すること」

「僕はERCのフルシーズンを戦うと同時に、トックスポーツのクルーとともにWRC2のキャンペーンを追うことも決まった。このふたつのチャンピオンシップを戦うことで、多くのシートタイムが稼げることになるね」とレギュラーシート獲得の喜びを語ったミケルセン。

 そんなミケルセンは、この2021年を最高峰カテゴリー復帰への「大きな一歩」と位置づけ、2022年に新たなラリー1レギュレーションを導入予定のWRCにカムバックする野心を抱いている。

「シュコダとトックスポーツがこの機会を与えてくれたことに、とても感謝している。2021年の目標は参戦するすべてのラリーを完全に支配することだ。それが現時点での唯一の焦点なんだ。僕らはすでに準備を進めているし、とても自信を持っているよ」と、シュコダの2022年向けラリー2車両の開発も担うミケルセン。

 一方、トックスポーツWRTもチームの声明でWRCウイナーの起用に言及し「アンドレアスは自信を持っており、シュコダ・ファビア・ラリー2エボをERCで最速のラリー2モデルにすることを目指している」と記している。

 チームは2018年のERCでイギリス出身のクリス・イングラムを起用し、当時のR5規定シュコダでジュニアU28のタイトルを獲得。さらに翌年には総合優勝を決め、イギリス人としては52年ぶりのERCチャンピオンを輩出した。

 また、ラリーでの活躍に加えてGTワールドチャレンジ・ヨーロッパやADAC GTマスターズではメルセデスAMG GT3を走らせ、カスタマーレーシング部門でトップチームの一角を成している。

ERC全8戦のエントリーに加えて、同じ車両でのWRC2参戦のプログラムも予定している
この2021年を最高峰カテゴリー復帰への「大きな一歩」と位置づけるミケルセン。勝負の1年となりそうだ

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