豪州SC:F1開幕戦併催アルバートパークの代替戦にサンダウンが名乗り

 2021年1月1日より、晴れて新名称の『RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ』として始動したオーストラリア大陸最大のツーリングカー選手権は、F1世界選手権の開幕戦として実施予定のメルボルン・アルバートパークでの1戦がキャンセルされた場合に備え、サンダウンが代替候補地となることを確認。

 一方、シリーズに参戦するトップチーム、Erebus Motorsport(エレバス・モータースポーツ)からは、5年間タイトルスポンサーを務めた石油潤滑油企業のPenrite(ペンライト)が離脱することもアナウンスされた。

 2月末の“開幕戦”バサーストに続き、2021年も第2戦のスロットに名を連ねるF1開幕併催イベントだが、現在も世界的に進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により延期となった場合、3月18~21日の週末に同じくビクトリア州メルボルン近郊に位置するサンダウン・レースウェイで代替戦を実施するとした。

 1964年から数々のイベントを主催してきたサンダウンは、2012年からオーストラリアV8、そしてVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーで耐久カップの重要な1戦としてシリーズの一角を担ってきたが、2019年を最後にカレンダーから外れていた。

 その結果、2021年もほかのサーキットのいずれかが計画されたイベントを実行できない場合に、ラウンドをホストするために介入する“フレックスオプション”としてノミネートされ、複数の日程でイベント開催が可能な“マルチプル・ブッキング”の会場として指定されていた。

 現時点の観測では、冬を迎えた北半球がイギリスやドイツのヨーロッパ地域を中心に厳しいロックダウンを実施中で、真夏の南半球オーストラリアでも州境をまたぐ移動を制限する厳格な封鎖措置が採られていることもあり、F1開幕戦オーストラリアGPの日程は延期され新たな日付を模索する可能性が高まっている。

 このF1開幕イベントが延期された場合でも、RSCの2021年シーズン第2戦はカレンダー通り進行する計画で、サンダウンが第一候補になる方針が示された。

2020年のF1併催戦アルバートパーク戦は、公式練習と最初の予選を終えた段階でキャンセルとなっていた
5年間タイトルスポンサーを務めた石油潤滑油企業のPenrite(ペンライト)の離脱が発表されたErebus Motorsport(エレバス・モータースポーツ)

■エレバス・モータースポーツとペンライトは契約延長せず

 RSCのシリーズ側も「あらゆる条件を勘案し、F1オーストラリアGPが予定どおり前に進まない場合に備え、おなじ週末にサンダウン・レースウェイでイベントを実施する準備を進めている」としている。

 もしこの計画が現実に実行された場合、パンデミックの余波で度重なるカレンダー変更を強いられた2020年にもレース開催のなかったサンダウンは、2年ぶりのシリーズ復帰を果たすことになる。

 一方、デビッド・レイノルズとアントン・デ・パスカーレの主力ドライバー放出をアナウンスしていたエレバス・モータースポーツは、オーストラリア国内のメジャーオイルブランド、ペンライトとの長期契約が延長されないことを発表した。

 メルセデスAMGのEクラスを走らせた2015年から始まる両者の関係は、レイノルズ加入の2016年にタイトルスポンサー契約に発展し、翌2017年にはそのレイノルズ/ルーク・ヨールデン組が世界的な名声を誇るシリーズの祭典『バサースト1000』制覇で最高潮を迎えた。

 そして2019年にはチームのエントリー名称をペンライト・レーシングに改めてパートナーシップをさらに強化するなど、5年間の関係は大きな成功を収めてきた。

 ペンライトの声明ではチームと歩んだ歴史に触れ、エレバス・モータースポーツとファンに感謝の意を示すとともに「まもなく、2021年のエキサイティングな計画をアナウンスできる見込み」だと記された。

 パドックでは、チームを離れたエースのレイノルズはトッド&リックのケリー兄弟が運営するケリー・レーシング加入が有力視されており、2台のフォード・マスタングのうち1台のステアリングを握ると噂されている。そのため、ペンライトもレイノルズを追ってケリー・レーシングにスイッチし、シリーズではおなじみとなったあのカラーリングをまとったマスタング誕生の可能性が高まっている。

2017年にはデビッド・レイノルズ/ルーク・ヨールデン組が、世界的な名声を誇るシリーズの祭典『バサースト1000』を制覇した
2020年のバサースト1000はレイノルズ/ウィル・ブラウン組で参戦。2021年はそのブラウンがレギュラーに昇格する

© 株式会社三栄