「中止になってもできることはある」－。新型コロナウイルス感染拡大のため成人式が取りやめになった長崎県西彼長与町で、新成人による実行委員会メンバーが手作りの成人式の様子を動画にし、10日午後1時から動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。メンバーの田中凜さん（20）＝東京都立大1年＝は「成人式は一生に1度。完全な代わりになるわけではないが、（町内外の同級生らに）配信することで、今を一緒に乗り越えられるよう願っている」と話す。
同町の新成人は434人（昨年11月1日現在）。成人式は例年、町が主催し、実行委メンバーが司会進行などを務めている。今回も実行委の12人が、式で披露する予定だった出身小中の卒業アルバムを基にした思い出の動画作りなど準備を重ねていた。
しかし、感染拡大で町は昨年12月24日、式の中止を決定。知らせを受けたメンバーはグループLINE（ライン）で「このまま終わらせたくない」「オンラインでできたらいい」などと次善の策を模索し、町の協力で自分たち手作りの成人式の様子を撮影してネットで配信することにした。
5日、町議会議場での撮影には男女9人が晴れ着姿で臨んだ。吉田愼一町長からの成人証書授与、謝辞といった式次第ごとにカット割りし、議場のカメラなどで撮影。メンバーが別に撮った動画も合わせて編集し、配信する。
「二十歳のことば」を述べた中村結奈さん（20）＝埼玉大2年＝は「議場の厳かな雰囲気の中、本番を意識できた。コロナが落ち着いたら仲間と古里で集い、近況を語り合いたい」と話した。
