マクラーレンF1、テスト削減によるリカルドへの影響を懸念「学ぶべきことはかなりたくさんある」

 マクラーレンF1チームのマネージングディレクターを務めるアンドレアス・ザイドルは、新たに加入するダニエル・リカルドが、最初からもう何年もチームにいたかのように感じることを願っている。

「我々には、可能な限り最善のやり方で彼を溶け込ませるための明確なプランがある」とザイドルはウェブサイト『The Race』に語った。

「ダニエルがあたかもマクラーレンのマシンをドライブしたことがあり、彼のエンジニアたちと長年にわたって働いてきたような状態にすることが目標だ」

「彼ができるだけすぐに居心地良く感じられるようにすることを目指している。そして開幕戦からともにパフォーマンスを発揮することを楽しみにしている」

 リカルドは2021年シーズンよりルノーからマクラーレンに移籍し、フェラーリと2年契約を交わしたカルロス・サインツJr.の後任となり、すでに長くマクラーレンで活動しているランド・ノリスのチームメイトになる。

マクラーレンのウエアを着たダニエル・リカルド

「新ドライバーを迎えるのは、常に非常に興味深い挑戦だ。それは整然としたアプローチと、適性の組み合わせとなる」

 リカルドはマクラーレンの最先端のシミュレーターを利用することはできるが、2021年型マシンでの実際の走行は、ノリスと分担して行う3日間のプレシーズンテストに限定される。

「コース上でのテスト時間は、他のどの時期とくらべてもそう多くはない。それがさらなる課題となる」

「短縮されたウインターテストの影響をランクづけしなければならないとすれば、最大の影響はドライバーが被ることになる。彼は長いこと走行していないことになるから、学ぶべきことはかなりたくさんある」

 同じく重要なのは、チームのスタッフ全員と知り合い、マクラーレンが全体的にどのように運営されているかを理解することだ。現在の新型コロナウイルスの状況のせいで、これは難しいことになるだろう。

「可能な限り最善のやり方で、彼をチームに溶け込ませる明確なプランがある。主な焦点は、技術面とレース面でなじんでもらうことだ」

「だがそれと並行して、コミュニケーション、マーケティング、ビジネスの面において、彼をチームメンバーとして溶け込ませるプログラムを用意している。これは1月の初めから全開で始めるよ」

「あまり時間がない。多くのセッションがオンラインも含めてあるし、同時にMTC(マクラーレンテクノロジーセンター)で多くの顔合わせもある」

■マクラーレンF1にはトロロッソ時代の仲間も

 リカルドはMTCで少なくともひとりは馴染みのある顔を見つけるだろう。テクニカルディレクターのジェームズ・キーと再会することになるからだ。ふたりは2012年にトロロッソで初めてともに仕事をした。

「彼はレースに勝ち、あの(トップ)カテゴリーのドライバーの一団に自分を押し上げた」とキーは語った。

「彼が我々にもたらしてくれるものは、優れた評価基準になるだろう」

「トロロッソでも彼は素晴らしかった。すでに非常に巧みな技術があったからね。そして今とまさに同じアプローチを持っていた」

「でもそれ以降、彼は多くのことを経験してきた。我々にとっての評価基準として、興味深いことになる」

「彼はライバルチームから来るし、その前はレッドブルのような強力なチームにいた。そのことが彼にいくつかのアイデアや基準となるポイントをもたらした。それは我々にとっても優れた情報提供になるだろう。彼と仕事をすることを楽しみにしているよ」

 多くの仕事が待ち受けているのはリカルドだけではない。新年にはチーム全体が長大なToDoリストを持っている。2021年はパワーユニットがルノーからメルセデスに切り替わり、マシンの大幅な改良が必要になる。

2013年F1ヘレステスト トロロッソが『STR8』を発表。真ん中に立つのが当時のテクニカルディレクターであるジェームス・キーで、ダニエル・リカルド(右)はフル参戦2年目を迎えた

© 株式会社三栄