新型コロナウィルスという困難に立ち向かいながらも、無事に閉幕を迎えた2020シーズンの明治安田生命Jリーグ。
今季もさまざまな名シーンが生まれた中、ファン・サポーターがハイライトの一つとして思い浮かべるのが、お気に入りの選手やチームがその喜びを全身で表現するゴールパフォーマンスの場面であろう。
そこで今回は、Jリーグの選手・チームが2020シーズンに見せてくれた傑作ゴールパフォーマンスを厳選してご紹介。
「あの選手と言えばこれ!」というおなじみのものから、チームが一致団結して考案したもの、特別な思いが込められた一度限りのものまで、激動の2020シーズンを彩った輝かしい歓喜の瞬間をぜひもう一度味わってみて欲しい。
感動の「ゲッツ!」
2020シーズン限りで現役を退いた日本サッカー界のレジェンド・中村憲剛。
大怪我からのカムバック初戦(8月29日の清水エスパルス戦)で劇的なゴールを決めた彼が見せたパフォーマンスは、サッカーファンの忘れられない記憶としてJリーグの歴史に永遠に刻まれることだろう。
某番組の企画でシーズン前から準備していた、渾身の「ゲッツ!」。
節目となる40歳のバースデイ(10月31日の川崎フロンターレ戦)にも見事なゴールをゲットした中村憲剛は、そこでも再度「ゲッツ!」を披露している。
持っている男も、カムバック弾に続くホームゲームでのメモリアルゴール連発には「等々力には神様がいる」と感嘆の声をもらした。
どちらのシーンでも、本人以上にチームメイトが喜びを爆発させている様子から、いかに周囲から愛された選手なのかが良く伝わってくるはず。
スタジアム全体が祝福に包まれたスペシャルな瞬間は、何度見ても感動だ。
仲良すぎ!小林悠の「友情パフォ」
お笑い芸人とサッカー選手の結びつきは深く、川崎フロンターレの小林悠もまた8月19日に行われたセレッソ戦でこんなゴールパフォーマンスを披露している(動画3分18秒~)。
“誰も傷つけない”独特の笑いの世界を追求する、ぺこぱ・シュウペイとの約束のポーズをお披露目!
二人は、神奈川県の強豪・麻布台淵野辺高サッカー部のチームメイトで同級生。テレビ番組でのやり取りを通して実現したパフォーマンスだそうだが、ちょっと照れ臭そうにしながらもしっかりやりきる小林悠の友達思いな人柄がうかがえる名シーンとなった。
また、9月27日の湘南ベルマーレ戦には、シュウペイの相方ぺこぱ・松陰寺太雄のポーズを披露。
奇妙な動きが癖になる!この松陰寺ポーズは、自身がプロデュースするフットボール・アカデミーの子供たちとZoomミーティングをしながら考案されたそう。
12月4日には、川崎フロンターレの優勝をシュウペイと一緒になって「シュウペイポーズ」で祝福する写真をSNS上で公開している。
その和気あいあいとした雰囲気から二人の仲の良さが一目で伝わる、何とも微笑ましい一枚だ。
なお、FC東京の太田宏介や、ギラヴァンツ北九州でプレーしていた小野寺達也(現・テゲバジャーロ宮崎)も麻布台淵野辺高サッカー部時代の盟友で同い年。
小林悠は、今シーズン圧倒的な強さで優勝を果たした川崎フロンターレのなかでも14ゴールを奪いチームのトップスコアラーになっている。
「ウルトラマンポーズ」と言えばこの人!
ヴェルディ仕込みのスキルフルな足技にスピードをあわせもったドリブルは間違いなくJリーグでもトップクラス。しかし、彼の“魅せ技”はそれだけではなかった。
「名古屋のマフレズ」との呼び声も高い前田直輝が、4ゴールを叩き込んだ8月8日の浦和レッズ戦で見せたゴールパフォーマンスは、面白さではまちがいなく今シーズンのMVPだろう。
胸の前で両腕を十字に交差させた「ウルトラマンポーズ」を披露!
試合後、ウルトラマンファンにはおなじみのゼスティウム光線を放った理由について、「観戦に訪れていた長男が大好きだから」と語り、子煩悩な一面をのぞかせている。
くしくも、松本山雅FC時代にはその潜在能力の高さとは裏腹にスタミナ不足なプレースタイルから「ウルトラマン」とのニックネームを付けられていた同選手。
この日の大活躍ぶりには、松本時代の監督・反町康治氏も「最近はカラータイマーが鳴らなくなったよね」と愛弟子の成長に目を細めていたそうだ。
ちなみにファンの間では、かなりの美声の持ち主で歌がうまく、玉置浩二のモノマネが得意なことも良く知られている。いつの日かその歌声でも魅せてくれるときを心待ちにしているのは、きっと筆者だけではないだろう。
奇妙で超かっこいい!ディサロ燦シルヴァーノの「マスクパフォ」
今シーズンのJ2における最大の発見と言ってよいだろう。
得点ランキング2位の18ゴールを挙げ、今オフの“注目銘柄”となった北九州のエース、ディサロ燦(あきら)シルヴァーノ。彼のシンボルともいえるポーズが、このマスクパフォーマンスだ。
手で顔を覆う姿が印象的な「レレポーズ」は、堂安律の元チームメイトでオランダ代表のスティーヴン・ベルフワイン(トッテナム所属)からインスピレーションを受けたもの。
前年に披露し話題となっていたが、ウイズコロナ時代を考慮し、マスクを表現した2020年仕様にバージョンアップ。
イタリア系の名前やダンディな佇まいもあいまって、そのユニークなゴールパフォーマンスから名作漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の世界をつい思い浮かべてしまうのは、なにも筆者に限った話ではないだろう。
自身の愛称「レレ」から名付けたというネーミングセンスも抜群で、いまJリーグで一番かっこいいゴールパフォーマンスと言っても決して言い過ぎではないはず。
先日、清水エスパルスへの加入が発表されたディサロ。近い将来、ブルーのユニフォームをまとった彼が披露する日本代表バージョンの「レレポーズ」にも期待したい。
もはや実写映画!?マルコス・ジュニオールの「ドラゴンボールパフォ」
もはやJリーグファンでこのパフォーマンスを知らない人はいないだろう。
ゴールを決めた後、世界的な漫画『ドラゴンボール』のかめはめ波をチームメイトと披露することでおなじみ、横浜F・マリノスのマルコス・ジュニオール。
上の動画は2019年シーズンのものだが、ソーシャルディスタンスが求められた今シーズンも、まるで新型コロナウイルスを吹き飛ばすかのような見事なかめはめ波をチームメイトと一丸となって撃ち放っている(動画2分31秒~と動画3分34秒~)。
9月19日に行われた第17節鳥栖戦ではクリリンの必殺技「気円陣」も披露(動画4分7秒)。
クオリティが高すぎる……。クリリンそっくりなヘアスタイルの彼が実演すると、まるで実写化された映画を見ているような気分に。
以前のインタビューでは「なるべく毎回違うパフォーマンスをやろうとしている」と語っており、来シーズンの彼の“新技公開”にも、乞うご期待だ!
京都サンガF.C.の「集団パフォ」
ゴールパフォーマンスは、なにもゴールを決めた個人の表現に限定されるものではない。
チーム全体でまるでマスゲームさながらの多種多様なパフォーマンスを幾度となく披露しているのが、京都サンガF.C.だ。
新スタジアムでのシーズン初戦となった第2節の磐田戦で披露した、凝りに凝った必見のパフォーマンスがこちら(動画4分1秒~)。
京都は第9節の町田戦でも、チームワーク抜群のユニークなゴールパフィーマンスを披露。ヨルディ・バイス選手が先頭に立って行った一度目のものは、オフサイドでゴール取り消しとなったため幻のパフォーマスとしてサンガファンの記憶に刻まれている。
そのバイスが、雪辱を期して挑んだ第31節岡山戦のゴールパフォーマンスは、なんとドミノ倒し!(動画5分2秒~)
最後まで倒れないピーター・ウタカのフィジカルの強さはやはり別格なのだろう。
第22節岡山戦の中川風希のゴールの後には、イレブン全員での「カズダンス」を披露している(動画1分20秒~)。
この動画からもうかがえるように、こうしたゴールパフォーマンスの数々は、森脇良太を中心にみんなでアイデアを出し合って完成させているようだ。
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あっと驚くようなひらめきで、新シーズンもホームのファン・サポーターを大いに沸かせてほしい。