「議会占拠事件」“扇動”に非難集中するトランプ氏 自己恩赦の「禁じ手」出るか?

議事堂に突入したトランプ支持者(ロイター)

米国の首都ワシントンで6日(日本時間7日)、集会を行っていたトランプ大統領支持者たちが連邦議会議事堂に侵入し、警官と衝突した際、女性が撃たれるなど4人が死亡する大惨事に発展した。この暴動を事実上、“扇動”したトランプ氏には非難ごうごうだが、以前からウワサされていた自身に恩赦を与える仰天シナリオが進みやすくなったとの見方もある。

民主主義の根幹を揺るがしかねない暴動を引き起こしたトランプ氏には猛批判が浴びせられている。世界的大企業が数多く加盟する全米製造業協会会長からトランプ氏の即時免職を求める声が上がり、チャオ運輸長官が政権から離れると表明するなど、大統領辞職もやむなしの状況に追い込まれている。

トランプ氏の大統領任期は今月20日まで。あと2週間を切っているが、今回の議会占拠事件で責任を問われ、自ら辞職する可能性が出てきた。その際、ペンス副大統領が大統領に昇格するが、“タダの人”となったトランプ氏に恩赦を出すウルトラCを発動できる環境が整うというのだ。

トランプ氏は先月から元側近らに恩赦を連発している。もちろん、トランプ氏が在職中に自己恩赦を出す手もあるが、あまりにも禁じ手で、過去にもない。ただ、連邦最高裁は1866年、恩赦について「犯罪の発生後であれば法的手続きに至る前であれ、係争中であれ、判決、有罪確定後であれ、いつでも行使してよい」との判断を示している。実際に1974年のウォーターゲート事件で辞職したニクソン大統領は、後任のフォード大統領による恩赦で訴追を免れた事例がある。

このシナリオを遂行する上でカギを握るのは、トランプ氏との決裂がささやかれるペンス氏だ。バイデン次期大統領の当選を正式に認定する手続きで「裏切り者」扱いされているが、あえて恩赦を出すために悪者を演じている可能性も…。共和党内では「もうトランプ氏を追放すべき」との声が多数を占めるが、残り2週間、まだまだ一波乱ありそうだ。

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