WEC:イオタが体制発表。ストフェル・バンドーンら実力派ドライバーを揃えLMP2王者狙う

 WEC世界耐久選手権に参戦するイオタ・スポーツは1月7日、2021年シーズンに向けた体制発表を行い、ストフェル・バンドーン、トム・ブロンクビスト、ショーン・ゲラエルの3名を起用することを明らかにした。

 イギリスに本拠を置くチームは2019/2020年シーズン、イオタとジャッキー・チェン・DCレーシングの運営を担当したが、今季も引き続きWECで2台のオレカ07・ギブソンを走らせる予定だ。

 今回発表されたドライバーラインアップの内、バンドーンとブロンクビストはそれぞれABBフォーミュラE世界選手権にフルタイム参戦することになっている。WECと電動フォーミュラカーシリーズは、互いに日程の重複を避けたカレンダーを発表していることから両名はふたつのシリーズに出場することができる。

 全日本スーパーフォーミュラ選手権からF1に渡ったベルギー人にとって、今季はスポーツカーレースへの復帰ならびに初めてのWECフル参戦が叶うシーズンなる予定だ。

 ミカエル・アレシン、ビタリー・ペトロフとともにSMPレーシングのLMP1カーでル・マンの総合3位を獲得したバンドーンは「このプログラムと2021年のフォーミュラEのキャンペーンを組み合わせることは本当に良いことだと思う。シーズンがスタートするのがとても楽しみだよ」と語った。

「イオタと一緒にWECに参戦できるのは素晴らしいことだ。なぜなら、彼らは非常に競走の激しい環境の中で確率され、尊敬されているチームであり、僕がつねに参加したいと思っている組織だからだ」

「また、ショーン(・ゲラエル)と、トム(・ブロンクビスト)と一緒にWEC参加できるものうれしいよ。彼らは僕のレーシングフレンドとして素晴らしい仲間たちだからね」

 そんなバンドーンのチームメイトとなるブロンクビストはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でBWMのドライバーを務め、2018/19年WEC“スーパーシーズン”
にもドイツメーカーのワークスドライバーとして複数のラウンドに出場した。

 2019年の終わりにBMW陣営から離れたブロンクビストだが、昨年もLM-GTEアマクラスで出場したル・マン、2位でフィニッシュしたバサースト12時間、AFコルセとともに優勝を飾ったポール・リカール1000kmなど主要な耐久レースへの参戦を継続している。

 一方、ゲラエルは近年FIA-F2選手権を主戦場としており、スポーツカーレースでの活躍は2016年のエクストリーム・スピード・モータースポーツ時代に遡ることになる。この年、ゲラエルとブロンクビストはWEC上海でLMP2カーをシェアしていた。

ショーン・ゲラエルとトム・ブロンクビスト、アントニオ・ジョビナッツィがドライブしたリジェJSP2・ニッサン 2016年WEC第8戦上海

■2月開催のアジアン・ル・マンにも交代で参戦へ

「ショーン、トム、ストフェルを迎える2021年のプログラムを確認できることを大変うれしく思う。勝利とLMP2タイトルに挑戦することを楽しみにしているんだ」と語るのは、イオタ・スポーツの共同オーナーであるデイビッド・クラーク。

「このトリオの質の高さは、イオタのスタッフ全員の意向を示したものだ。ショーンはここ数年トップレベルのレースの中心的存在であり、明らかに熱心で印象的なプロフェッショナルだ」

「私はトムのキャリアを何年にもわたって追ってきたが、彼が勝者であり、コックピットや他の多くの分野に卓越性をもたらす人物であることは明らかだね」

「また、ストフェルの実績は(誰もが知っているため)ほとんど紹介する必要もないだろう。年間を通して彼と一緒に仕事をするのは素晴らしいことだ」

「この計画をまとめる上で、このような素晴らしい先見性とコミットメントを示してくれた3人全員に感謝したいと思う。2021年に世界中で素晴らしい活動と、最高の結果が得られることを楽しみにしている」

 今回起用が発表された3名のドライバーは、全員がアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催されるAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズで、同チームの38号車オレカ07をドライブすることになる。
 
 ゲラエルとバンドーンは2月4~6日に行われるふたつの4時間レースでコンビを組み、ブロンクビストは2月19~20日に実施される2レースで、バンドーンに代わってマシンをドライブする予定だ。

トム・ブロンクビストは2019/20フォーミュラE第10、11戦ベルリンにパナソニック・ジャガー・レーシングから参戦

© 株式会社三栄