コロナワクチン 早期実用化に意欲 総社市出身の森下竜一大阪大教授

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ワクチンの早期実用化に意欲を示す森下氏

 新型コロナウイルスのワクチン開発に取り組む大阪大大学院の森下竜一寄付講座教授(58)=総社市出身、遺伝子治療学=は、今年中を視野にワクチンの早期実用化に意欲を見せる。日本政府が供給の合意や契約を得ている米国企業のワクチンが臨床試験(治験)で90%を超す有効性を示した中、「安全性を保ちつつ、有効性も上げなければならない」としている。

 開発しているのは、ウイルスの遺伝情報の一部を組み込んだ「DNAワクチン」。接種すると、新型コロナウイルスが細胞に侵入する際に鍵の役割を果たすタンパク質が発現し、それを免疫システムが異物と認識することで抗体ができる。ウイルスを弱毒化したり不活化したりする従来のワクチンと異なり、ウイルスそのものを使わないため安全性は高いとされる。

 森下氏は、自身が創業した製薬ベンチャーのアンジェス(大阪府茨木市)と共に昨年3月、ワクチン開発に着手。日本勢では最も先行しており、6~9月に大阪市立大と大阪大の付属病院で各30人を対象にした治験を実施した。「目立った副反応は認められず、安全性は確認できた」という。

 12月からは500人規模の治験に入っており、今年3月ごろまで関西と関東の計8施設で行う予定。副反応や十分な量の抗体ができるかを確認しながら、最適な投与間隔を探る。安全性と有効性の精度を上げるため、その後に数万人規模の治験を行うことも検討している。

 森下氏は「500人規模の治験の結果を踏まえ、方針を決めていくことになる。開発中のワクチンに改良を加えなければならない可能性もある」とする。国産ワクチンの意義について「今後、別のウイルスによるパンデミック(世界的大流行)が起きたときにも備え、国内でワクチンを開発し、国民全員に供給できる体制の確立が必要だ」と指摘する。