吉村洋文知事 後手対応なのに「先手の緊急事態宣言」強調の違和感

新型コロナ対策本部会議に参加する吉村知事

新型コロナの感染爆発を受けて大阪府は8日、新型コロナウイルス対策本部会議を開催。吉村洋文知事は政府に対し、緊急事態宣言を要請すると決定した。

吉村氏は「ここ2、3日で感染者の数が急拡大している。医療体制もひっ迫していて、このまま続けば医療がさらに厳しい状況になり、感染の波がさらに拡大する可能性も高い。大阪府として緊急事態宣言の発令の要請を判断したい」と述べ、経済圏を同じくする京都府、兵庫県と協議し、9日に政府に要請することを決めた。

4日の仕事始めでは「(感染の)急拡大は抑えられている。今の段階で国に要請することはない」と断言していたが、その後、状況は一変。8日の新規感染者数は654人と3日連続で過去最多を更新した。

吉村氏は「(5日に)560名と一気にガラスの天井が突き抜けた瞬間と、その翌日も600名を超えると報告を受けたこと。首都圏で2400人を超える事実もあった。これを踏まえ、ステージが変わったと判断した」と考えを改めた理由を説明した。

また、その後に出演したテレビ番組でも「緊急事態宣言を出すというのは、医療と違う世界の人たちにはすごいダメージが生じるもの。そのバランスの中で知事としては判断しなければならない」とし「5日以降、医療体制が戻れば上がるだろうと予測していた。ただ、ここまで急に上がるか?というと、判断としては難しい」などと釈明に追われた。

府政関係者は「正月休みが終わって、本格的に検査が増えれば一気に増えることくらい予測できそうなもの。後手後手なのに『先手として緊急事態宣言を要請する』と言ってるのは違和感を感じる。4日に『国への要請はない』と言った後に参加した大阪新年互例会で、希望の『希』の字を書いたんですが、字をササッと書けなくて『希望がない』なんて言われていました」と話した。

感染に歯止めはかかるのか…。

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