洗濯機や電子レンジ、エアコン…意外と知らない「家電の寿命」、守らないと危険?

洗濯機に、電子レンジ、エアコン……毎日大活躍している「家電の寿命」、実はハッキリと把握していない方も多いのではないでしょうか?

ある日、突然動かなくなって、慌てて買い替えようとしても、お店が閉まっていたり、在庫が切れていて届くまで時間がかかったり、その間不便な生活を強いられたり、予想外の出費も痛手になったり……。

そんなことにならないよう、あらかじめ寿命を知っておき、買い替え時期を予測し、準備しておくことが大事です。そんな意外と知られていない「家電の寿命」について、総合家電エンジニアの資格を持ち、ご自身も家電量販店に足繁く通っているという“家電スペシャリスト”の本多さんにズバリ聞いてみました。併せて、各家電の「使用上の注意点」も解説。間違った使い方で、大事故を起こさないためにもきちんと確認しておきましょう。


寿命の基準は?

まず「何を寿命の基準とするか?」という点がありますが、一つの基準として、各メーカーの“補修用の部品”の保有期間を目安にするのが良いでしょう。

家電の多くは、「公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」で示される「製造業表示規約」のとおり、特定製品の補修用性能部品表示対象品目とその保有期間が定められています。つまり、その定められた保有期間なら修理に必要となる“部品”の在庫の保有が原則として保証されています。逆にこの期間を過ぎると、部品の在庫状況も危ういだけでなく、修理できない場合も考えられます。今回は、この保有期間を「寿命の目安」として解説していきます。

洗濯機の寿命と使用の注意点

洗濯機の補修用性能部品はその品名(商品品番や商品型式とも記される)の製造打切後6年間(縦型洗濯機は7年間の場合があります)となります。したがって、製造打切後6〜7年間を過ぎている場合は、買い替え時を迎えていると判断してもいいでしょう。さらに、間違った使い方をしているために寿命を早く迎えてしまうこともあります。そうならないためにも、安全上の注意点についても確認しておきましょう。

■洗濯機の周辺
1)ベランダ設置の場合は風雨の影響を充分に考慮する(感電や漏電火災の原因となる)

2)水回りや湿気の多い場所を避けるようにする(感電や漏電火災の原因となる)

3)アース線をしっかり接続する(取れかかっていると漏電の際に感電する恐れがある)

■使用するとき
1)50℃以上の温水を洗濯・脱水槽に入れない(樹脂部品の変形や破損の原因となる)

2)洗剤や柔軟剤が専用トレイ以外に付着しないようにする(樹脂部品の変形や破損、金属部品を腐食させる原因となる)

3)井戸水を使う場合は異物混入や黒カビの発生を予め承知する(水質によって異なる)

■洗濯物の入れすぎには要注意
洗濯物は、一般的に洗濯容量の6割から7割を目安にすると良いと言われています。洗濯物の量が多すぎると回転モーターに大きな負担がかかるだけでなく、洗濯槽は回転していても肝心の洗濯物は動かず、汚れが落ちません。結果、襟や袖口の黄ばみの原因になったり、雑菌が繁殖して異臭の原因になったりします。洗濯槽を回転させるモーターにも大きな負担となり早期消耗の原因となります。

■カビの発生を抑制する
洗濯槽は定期的に専用クリーナーで洗浄することをお勧めします。また、糸くずフィルターのお手入れも忘れずに。洗濯物のカスや異物などは取り除き、フィルター自体も汚れや滑りがある場合は水道水で洗浄します。洗浄後は直ぐに取り付けず陰干しのまま放置。こうすることで、糸くずフィルターに発生するカビを抑制できます。洗濯槽側の糸くずフィルター固定部も忘れずに洗浄しておきましょう。洗剤入れ(柔軟剤入れ)が外せる場合は、きちんと洗浄しておくと、カビの発生を抑制することができます。

電子レンジの寿命と使用上の注意点

電子レンジの補修用性能部品はその品名(商品品番や商品型式とも記される)の製造打切後8年間となります。なので「寿命の目安」は8年。併せて、安全上の注意点にも触れておきましょう。

■設置するとき
1)吸気口や排気口はふさがないように注意する(布などでふさぐだけではなく、小物による障害壁を作ってしまったり、ごみや埃が大量に付着していても故障や火災の原因となる)

2)水が跳ねるような場所は避ける(感電や漏電の原因となる)

3)アース線をしっかり接続する(取れかかっていると故障や漏電の際に感電する)

■使用するとき
1)庫内に付着した油や食品カスなどは放置しない (除々に炭化し、最終的には弾けてしまい破損や火災の原因となる)

2)庫内に付着した調理後の水滴を放置しない (放置すると錆の原因となる)

3)付属グリル皿を活用する場合は庫内壁を引きずらない(雑に取り扱うと絶縁塗装が剥がれてきて、破損や火災の原因となる)

エアコンの寿命と使用上の注意点

エアコンの補修用性能部品はその品名(商品品番や商品型式とも記される)の製造打切後10年間(2009年以前に設計されたエアコンは9年間の場合があります)となります。ですので「寿命の目安」は9年〜10年。安全上の注意点は下記のとおりです。

■室外機の周辺
1)室外機の吸込口や吹出口の周りに植木鉢や自転車など障害壁を作らないようにする (メーカーにより異なるが、室外機を正面から見て、真正面20cm以上、側面30cm以上、真裏10cm以上が必要であり、確保されていないと熱交換率低下の原因となる)

2)ドレンホースからの排水を妨げないようにする (ゴミや虫などが詰まると排水できなくなり室外機へ逆流の原因となる)
3)室外機からの風が動植物に直接当たらないようにする (夏場であれば温風、冬場であれば冷風が吹き出すためその影響は考慮すべき)
4)夏場の直射日光、冬場の積雪を対策する (室外機周辺の温度が高すぎると冷房能力が低下するため室外機に影を落とすよう工夫する。積雪は一定の空間を確保できなくなるため積雪防止策などを据えるべき)

■使用するときの注意点
1)フィルター自動掃除機能だけを頼らないようにする (使用時間が多くなる季節は2週間に1回を目安としてお手入れする)

2)連日の冷房運転を終えるとき送風運転を活用する (室内機内部の水分を取り除き、カビの発生を抑えるため)

3)定期的にメーカーサービスへ点検を依頼する (室内機・室外機の内部を洗浄や、各部の健康診断を実施してくれるため。メーカーHPや取扱説明書の裏面などを確認してみる)

加湿空気清浄機の寿命と使用上の注意点

空気清浄機の補修用性能部品は、製造打切後6年間(除湿機能があるものは8年間の場合があります)となります。ですので「寿命の目安」は6年〜8年。安全上の注意点は下記のとおりです。

■設置するとき
1)直射日光やエアコンの風が直接当たる場所を避けるようにする (紫外線による樹脂部品の変質や変色、エアコンの影響による誤作動の原因となる)

2)湿度センサーや埃センサーなどの検知部をふさがないようにする(緻密に設計された機能が正しく作動できない原因となる)

3)吹出口からの風が動植物に直接当たらないようにする (運転モードによって多湿・乾燥の影響を強く受けるためその影響は考慮すべき)

■使用するとき
1)タンクに入れる水は水道水を使う(塩素処理されているため雑菌が繁殖しにくい)

2)タンクに浄水器の水やミネラルウォーター、井戸水を入れない(カビや雑菌が大量に繁殖する原因となる)

3)タンクに40℃以上の温水や洗剤を加えた水を入れない(変形や破損の原因となる)

4)フィルターの種類によってお手入れが異なる(水洗いがNGなフィルターと水洗いが可能なフィルターが存在するため、取扱説明書のとおり正しい手順でお手入れを行なう)

■最適な設置方法
冬場にエアコンと共用する場合、エアコンからの温風は基本的に下方向へ吹き出されますので、エアコンの真下などに設置すると空気清浄機の気流がぶつかり合い、空気循環が悪くなります。空気清浄機をエアコンの向かいに設置して空気循環を促すようにしましょう。夏場はエアコンの真下などに設置すると良いでしょう。また、加湿機能を活用する際は、吹出口を他の電化製品に直接向けるのはNG。結露で故障させてしまう恐れがあるので注意しましょう。

扇風機の寿命と使用上の注意点

扇風機の補修用性能部品は、製造打切後8年間となります。ですので「寿命の目安」は8年。安全上の注意点は下記のとおりです。

■扇風機の周辺
1)水回りや風呂場など湿気の多い場所を避けるようにする(火災や感電の原因となる)

2)引火性のもの、可燃性のものの近くには置かないようにする(火災の原因となる)

3)幼児などがいる場合は、容易に近づけないよう設置する(重大な事故の原因となる)

■使用するとき
1)扇風機からの風をストーブなどの燃焼器具に向けないようにする(燃焼器具の不完全燃焼や炎散を引き起こし一酸化中毒や火災の原因となる)

2)扇風機の羽やカバー類に付着する埃を定期的に取り除く (長期間放置することで埃が内部にも付着して故障の原因となる)

温水洗浄便座の寿命と使用上の注意点

温水洗浄便座の「寿命の目安」は他の家電と少し異なります。重大事故防止のために「一般社団法人 日本レストルーム工業会」から定期的な点検が推奨されている電化製品です。

おおよそ一回における温水洗浄便座機能の使用時間は10秒から15秒と言われており、男性2人、女性2人の4人家族を想定した場合の想定安全使用期間は10年です。したがって、10年以上使っている場合は、買い替え時を迎えていると判断しても間違いではないと思います。便座蓋を開けると注意喚起や製造年などが記載された表示ラベルが貼り付けられているので、そちらを確認してみましょう。また、消費者によるセルフチェックのポイントもあります。

(1) 便座にガタツキが確認できる(便座の裏側に据えられているゴム足が欠損している)
(2) 便座が異常に熱くなる、異常に冷たい(季節で感じ方も異なるが「異常」と感じる)
(3) 便座にひび割れが確認できる(便座の表裏など目視できる箇所はすべて確認する)
(4) 配線がねじれている、被覆に亀裂などが確認できる(被覆内部の銅線が目視できる)
(5) 配線が熱くなっている、電源プラグの差込部が発熱・変色している(大量の埃にも注意)
(6) アース線が取れかかっている(取れかかっていると故障や漏電の際に感電する)
(7) 操作部のパネルなどがめくれたり、ひび割れている(被水に注意)
(8) 製品本体から水漏れしている(滴下していなくても、漏れた形跡に注意)

これらの項目をチェックすることを習慣化することが大切です。そして、何かあっても消費者判断で応急処置することは危険です。ガタツキがある部分に段ボールの切れ端を差し込む、ひび割れしている箇所をボンドで固定する、被覆の亀裂箇所にビニールテープを巻いておく、水漏れしている箇所を硬化パテで覆う…など、もしそのような行為を行なっていたり、発見した場合は、放置せずにメーカーサービスへ点検依頼をしてください。

セルフチェックとともに安全上の注意点にも触れておきましょう。

■洗浄タンク(便器洗浄機能がある場合)の洗剤管理と水抜き(温水洗浄便座 全般)の必要性
1)石鹸や天然由来など界面活性剤成分の少ないものは洗浄効果を得ることが難しいので使用は控える

2)台所用中性洗剤以外(ハンドソープ、ボディソープ、トイレ洗剤、浴槽洗剤、食洗機洗剤、酸性やアルカリ性、塩素系の洗剤)は使用しない

3)異なる洗剤に入れ替える場合は取扱説明書のとおり正しい手順で洗浄を行なう (種類の異なる洗剤が混ざると化学反応を起こし、動作不良の原因となる)

4)長期間使用しない場合は取扱説明書のとおり正しい手順で水抜きを行なう (水道局により塩素処理された水道水であっても腐敗して皮膚炎の原因となる)

■本体表面や便蓋、便座などのお手入れ
1)完全に乾いた布やトイレットペーパーを用いて拭き取らない(ヤスリ掛けの行為と変わらず、傷の原因となる)

2)酸・アルカリ性洗剤や研磨剤入り洗剤、ベンジンやシンナーを用いて拭き取らない (樹脂部分だけに留まらず、金属部分を腐食させる原因となる)

3)基本的に電源プラグをコンセントから抜いて作業する (各部誤作動による思わぬ事故や故障の原因となる)

■便座の隙間にも注意
現在、便座の成型方法には大きく分けて二種類です。便座上側と下側の部分を結合するものはかならず隙間が存在します。隙間に汚れが入ってしまうと変色の原因となったり、小水が跳ねて隙間に浸透すると変色だけでなく、塗装はがれの原因にもなります。また、酸性のケミカル剤を使用すると内部に侵入して破損や故障の原因となります。トイレ掃除の度に、もっと言えば用を済ませる度に確認して直ぐに拭き取ることをお勧めします。一体成型の便座であれば隙間は存在しませんが、隙間が存在するタイプのものと同様の注意は必要です。

意外と知らない「家電の寿命」。年始の忙しい時期に、急に壊れた……などという事のないよう、年内に一度、自宅の家電の購入時期をチェックし、それぞれの寿命を確認しておくのが良いでしょう。

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