ダカールラリー:前半戦最後のSSはサインツが制す。優勝争いはペテランセルとアル-アティヤの一騎打ち

 ダカールラリー2021は1月8日、前半戦最後のステージとなる“ステージ6”が行われ、Xレイド・ミニ・JCWチームのカルロス・サインツ(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)が競技初日以来、今大会2度目のSSベストタイムをマークした。

 1月3日に開幕したダカールラリーの競技6日目。この日はアル・カイスマフから休息地のハイルに向かう総走行距離618km(内SSが448km)のコースが設定されていたが、主催者の決定によって競技区間が当初予定されていた距離から100km短縮されることとなり、全長347kmのSSで争われた。
 
 そんなステージ6を制したのは、ディフェンディグチャンピオンのサインツだ。彼はステージ序盤から速さをみせ、SS2番手につけたオーバードライブ・トヨタのヤジード・アル-ラジ(ハイラックス・オーバードライブ)に4分03秒差をつけてトップフィニッシュを飾る。
 
 SS3番手は2年ぶりの勝利を狙うTOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤ(トヨタ・ハイラックス)。総合首位に立っているXレイド・ミニ・JCWチームのステファン・ペテランセル(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)がステージ4番手となったことで両者のギャップは5分53秒に縮まっている。なお、ペテランセルから僚友サインツまでのタイム差は40分39秒だ。

 サインツに続く総合4番手はオーレンチーム/オーバードライブのヤクブ・プツィゴンスキー(ハイラックス・オーバードライブ)、同5番手にはバーレーン・レイド・エクストリームのBRXハンターを駆る2014年大会覇者ホアン-ナニ・ロマがつけている。

 BRXのチームメイトであるセバスチャン・ローブ(BRXハンター)は、97km地点でサスペンションアームが破損したため修復を余儀なくされることに。WRC世界ラリー選手権元9連覇王者はアシスタントチームの到着を待っている状況だ。

 四輪市販車部門にエントリーしているチームランドクルーザー・トヨタオートボデー勢は前日、三浦昂のドライブするTLC VDJ200がパワーステアリングを失ったものの、僚友ロナルド・バソ(TLC VDJ200)の助けを借り、なんとか2台揃ってのフィニッシュを果たした。

 マシンを修復して迎えたステージ6では三浦がステージ42番手、バソが43番手となり、総合では39番手と41番手に順位を上げている。市販車クラスの首位、2番手は変わらず。

セバスチャン・ローブ(BRXハンター)
総合2番手につけるナッサー・アル-アティヤ(トヨタ・ハイラックス)
前半戦をトップで終えたステファン・ペテランセル(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)

■接近戦が続く二輪部門はKTMがトップで前半戦終了

 トラック部門に挑む日野チームスガワラの菅原照仁(日野レンジャー)はSS11番手、総合順位は前日からひとつポジションアップの14番手となっている。

「殆どが砂のステージでしたが、意図的な設定なのかバンピーで車速の上がらない区間も長かった」と、ラリー前半戦最後ステージのふり返った菅原。

「砂丘は壁のように切り立ったものもありましたが、うまく回り込んでクリアできました」

「タイム的に我々は100%のペースで走っているつもり。ここにきて上位勢がさらに速くなったように感じます」

 二輪部門ではモンスターエナジー・ホンダチームのホアン・バレダ(ホンダCRF450ラリー)が今大会3度目のステージ優勝を飾った。
 
 トップと13秒差のSS2番手はモンスターエナジー・ヤマハ・ラリーチームのロス・ブランチ(ヤマハWR450Fラリー)、同3番手につけたKTMファクトリー・チームのダニエル・サンダース(KTM 450ファクトリー)も首位から53秒差と僅差でのフィニッシュとなった。

 総合ではレッドブル・KTM・ファクトリーチームのトビー・プライス(KTM 450ファクトリー)がトップに立ち、2分16秒差の総合2番手にモンスターエナジー・ホンダチームのケビン・ベナバイズ(ホンダCRF450ラリー)が続く。総合3番手は同じくホンダのホセ・イグナシオ・コルネホ(ホンダCRF450ラリー)で、トップとのギャップは2分57秒だ。

 ダカールラリーは1月10日、ハイルでの休息日を経て、同地からサカカに至る“ステージ7”が行われる。後半戦最初のステージのSS距離は471km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は737kmだ。

ホアン・バレダ(ホンダCRF450ラリー)
総合首位に立つトビー・プライス(KTM 450ファクトリー)
ケビン・ベナバイズ(ホンダCRF450ラリー:奥)とホセ・イグナシオ・コルネホ(ホンダCRF450ラリー:手前)
ライトウエイト・ビークル部門では、レッドブル・オフロード・チームUSAのサス・クインテロ(OT3-02)がダカール史上最年少ステージ優勝記録を更新。18歳118日でレコードを塗り替えた。

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