コロナ禍の2020年 110番減少も、増えた通報は… 神奈川県警まとめ

神奈川県警

 神奈川県警は2020年の110番通報の入電状況をまとめた。総受理件数は約82万件(前年比約2万7千件減)で、過去5年間では最少だった。新型コロナウイルスの第1波が襲った3~5月の減少が目立ち、緊急事態宣言に伴う外出自粛や店舗の休業、交通量の減少などが影響したとみられる。

 県警通信指令課によると、1日平均の受理件数は約2240件で、38.5秒に1回の割合で通報があった計算となる。全体の51.3%に当たる約42万1千件が警察官の出動を要した通報だったが、問い合わせや相談などの「出動不要」が約29万件、いたずらやかけ間違いなどの「無効」が約10万9千件あった。

 月別の受理件数は1、2月などで前年より増加した一方、3~5月と9月で減少が顕著だった。最初の緊急事態宣言発令期間中(4月8日~5月25日)の受理件数は前年同期比14%減で、泥酔者絡みや交通事故の通報が大幅に少なくなった。逆に騒音関連の通報は増加。自宅にいる時間が増え、換気で窓を開ける機会が多くなったことなどが要因とみられる。

 コロナ関連の通報は4、5月を中心に約930件が寄せられた。品薄になったマスク販売を巡るものや、マスクや消毒液の万引被害、せき・くしゃみにまつわるトラブルなどが主な内容だった。「他県ナンバーの車が走行している」、「パチンコ店が営業している」など、監視社会の世相を反映した通報もあった。

 県警は、緊急性のない相談や要望は「#9110」や各署の相談窓口の利用を呼び掛けている。同課は「回線や受け手となる人員は限られている。110番の本来の趣旨である緊急事案への対処が遅れる要因にもなりかねないので、適正な利用をお願いしたい」としている。

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