「えびすさーん」叫び、寒ブリ放流 対馬・十日恵比須祭り

「えびすさーん」と叫びながら寒ブリを放流する若手組合員=対馬市、高浜漁港

 対馬有数の寒ブリ水揚げ地である長崎県対馬市美津島町の高浜漁港で10日、新年の恒例行事「十日恵比須(えびす)祭り」があり、美津島町高浜漁協の組合員が丸々とした寒ブリを放流するなどして1年の大漁と航海安全を祈願した。
 同漁協の組合員は約200人。はえ縄漁で対馬海峡産のブリやタイなどを漁獲している。特に12~2月の厳冬期はサバやイカなどを食べて脂が乗り、荒波にもまれ身が引き締まった寒ブリのシーズン。同漁協は主に福岡市場を通じて全国に出荷している。
 例年、祭りには全国各地の市場関係者が参列するが、今年は新型コロナウイルス感染症対策のため地元の漁業者ら約60人だけで開催。漁業の神である「えびす様」を祭る近くの恵美須神社で神事をした後、若手組合員が「えびすさーん」と叫びながら、10キロ級の寒ブリや5キロ級のアラ(クエ)などを港内に放流した。
 植木忠勝組合長(66)は「漁師は、はえ縄を海に流す時に『えびすさん』と心の中で念じて大漁を祈る。昨年は新型コロナによる宴会自粛で魚価の低迷が続いたが、今年こそは組合員が安心して暮らせる年になれば」と話した。


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