楽天ドラ2高田、同期“ドラ1”へライバル心全開 「負けたくない」「絶対勝ちたい」

シャトルランで並走する早川隆久(右)と高田孝一【写真:宮脇広久】

ライバルの存在が自分を成長させる「いい投手がずっと身近にいる環境」に感謝

持ち前の負けん気が爆発した。楽天ドラフト2位の最速156キロ右腕、高田孝一投手(法大)は10日、楽天生命パークで行われた新人合同自主トレ初日に参加。恒例の「シャトルラン」では、新人7人中トップの129回をマークした。ドラフト1位の早川隆久投手(早大)は119回で4位だった。

「気合で走りました」と高田は胸を張った。20メートルの距離を延々と往復し、時間内に走りきれなかった者から脱落していく過酷なシステム。高田は「球団が設定した目標は100回でしたが、それを超えてもほぼ全員の選手が残っていた。これは負けていられない、1位を取ってやろうと思いました」と言い切った。

もともと走ることは嫌いで、法大3年まではウエートトレ中心で鍛えていた。しかし、勉強を重ねるうちに「本番の試合でおもりを付けて投げるわけではない。効果的なのは走り込みではないか?」と考えが変わり、4年に進級すると走り込み中心へ切り替えた。その際、法大同期の鈴木昭汰投手(ロッテ1位指名)に練習メニューを聞き参考にしたと言う。2人で一緒に走る機会も増えた。

高田と鈴木は2枚看板として法大を牽引したが、1カード2試合制で行われた昨年の東京六大学秋季リーグでは、主に鈴木が第1戦、高田は第2戦に先発した。高田にとって鈴木は、常に自分より前を歩く存在だった。

東京六大学からプロ入りした同期に「少なからず意識する存在」

走り込みの効果で「疲れた時でも、自分の体をしっかり動かせるようになった」とうなずく高田は、昨年8月の練習試合で自己最速の156キロを計測。鈴木に対しても「同じプロで、しかも同じパ・リーグ。投げ合うことがあったら絶対に勝ちたい」と“恩返し”を誓っている。

さらに、昨年10月のドラフト会議では、鈴木、早川に加え、入江大生投手(明大→DeNA)、木沢尚文投手(慶大→ヤクルト)の計4人が東京六大学から1位指名された。2位指名にとどまった高田は、「もちろん負けたくない。(1位指名の)彼らとは4年間戦ってきたので、少なからず意識する存在です」と対抗心を隠さない。

法大時代最後のリーグ戦となった昨年秋は、打線の不振もあって無念の5位に沈んだ。対照的に優勝したのは、楽天で同僚となった早川が主将を務める早大だった。高田にしてみれば燃えないはずがない。

「鈴木と4年間一緒にやってこれて、今は何かの縁で早川と同じチームでやれることになった。いい投手がずっと身近にいる環境なので、良いものを吸収して自分の成長につなげたい」とキッパリ。

手ごわいライバルの存在は、自分を成長させてくれる。そして、大学での実績やドラフト順位がプロでそのまま通用するとは限らない。高田は「2月のキャンプで最初から捕手を座らせて数を放れるように、1月中旬から下旬にブルペン入りして“立ち投げ”。1月末には捕手を座らせて投げられるようにしたい」と自主トレ期間中のプランを練っている。“下剋上”へ向けて動き出した。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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