【石川優実が芸能界のセクハラ、パワハラ告白】「グラビアから始めないと難しい」と言われ…

石川は自身の被害体験を本紙に語った

【現役女優が芸能界の性接待を実名告白!石川優実「#MeToo」:連載1】本紙で芸能界のセクハラ、パワハラの実態を告発した女優・石川優実(31)の新連載「#MeToo(ハッシュタグミートゥ)」がスタート。第1回は告発に至った経緯と、結果的にセクハラ、パワハラを受けることになってしまった当時のプロダクション入りのきっかけを振り返る。

「#MeToo」という言葉の存在は、ハリウッドの方で騒ぎになっていたのは知っていましたが、実際に内容は把握していませんでした。その時点では、自分に関係がある言葉だとは思ってもいませんでした。「ハリウッドの有名な女優さんたちが大変な目に遭っていたんだな」というぐらいの認識でした。

それがそのうちに「なんか、これ、自分がされてきたことに似ているなあ」と感じたんです。いろんな女性がセクハラについて、思いを告白しているのをSNSなどで目にして、それがまったく、自分と感じていたことと一緒だった。「私がいままで女性として生きてきて、すごく嫌な思いをして生きてきたことって、あれってセクハラ、パワハラだったんだ」と。

ずっとセクハラやパワハラに対して感じていたことは「自分のわがまま」だと思っていた。「我慢しなきゃいけないことだし、こうなってもしょうがないこと、自分の実力がないから、至らないから、こうなってるんだ」と思っていた。

けれども「あれ? 実は我慢しなきゃいけないことでもないし、しょうがないことではないんじゃないかな」と思うようになったんです。

私が受けたセクハラでいえば、相手(男性)側も「芸能界で実力がない人間はそういうことをしていかなければいけないんだ」と思っているように感じました。さらに、周りの女性も「そういうものだよね」と思っている方がすごく多いように感じられました。その中で生きてきて「そういうことをしないと女は芸能界の中で対等に生きていけないんだな」と感じていたのは事実です。

そんな世界に飛び込んだ、私の「芸能界入りのきっかけ」から振り返ろうと思います。

もともとは愛知県の出身で高3の秋ぐらいですかね。名古屋一の繁華街といわれる「栄」という街で友人と遊んでいて、別れて1人になったところに、そのマネジャーからスカウトされたんです。その時は、あまりしつこい感じでもなく、名刺を渡されて、という感じです。家に帰ってから、名刺に記載されていたホームページを検索すると、それほど怪しい感じでもなかったので、こちらから連絡しました。そこから始まりました。

芸能活動への憧れというのはありました。小さいころから、歌やお芝居には興味があったんですが、現実的にはできないような環境だったんですね。スカウトされた当時は商業学校に通っていて「就職するか、専門学校に通うか」と迷っていた時期で、最終的には専門学校に行くことを決めました。小さい事務所だったので、ほかに目立って活動しているタレントさんもいなくて、最初は名古屋で撮影会とかみたいな感じですかね。でも当時の衣装は水着とかではなくて私服。近くの公園にファンの方をお呼びして、撮影するみたいな感じでした。

でも芸能界でやっていくには、当時のマネジャーからは「グラビアから始めないと難しい」と。それは私も理解できたんです。グラビアからスタートした女優さんもたくさんいる。その時、私は「そういうものなんですね」と答えました。それで、1回、水着の撮影会もしました。ビキニになるのは初めてだったけど、海で水着を着るようなレベルだったので、自分の中では許せる範囲だったんです。

その流れで、マネジャーさんから「本気で芸能界を目指すなら、最初はグラビアからのスタートになると思うんだけど、東京の出版社を回ってみるか」というお話をされたんです。そして…。 (つづく)

☆いしかわ・ゆみ=1987年1月1日生まれ。岐阜県出身。2004年、高校3年生のときにスカウトされて芸能界入り。グラビアアイドルとしてDVDを30本以上発売するなど人気を博す。その後、女優として活動。14年には映画「女の穴」で映画初主演。17年にブロガーのはあちゅう氏に触発され、自身が経験した芸能界セクハラ事情を実名で告発。日本での#MeToo運動を展開している。

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