『全く慣れない』ファイターズ栗山監督10年目始動 FFFFFここだけの話⑤ 

1月3日の新春スペシャルに続き、レギュラー放送も、栗山監督のインタビューをお送りした10日に2021年のスタートを切りました。皆さん改めまして、今年もファイターズ応援番組「FFFFF(エフファイブ)」を宜しくお願い致します。

10年目のシーズンを迎えても、監督という仕事には「全く慣れない」と語った栗山監督。慣れることに関して自分自身を戒めている部分もあるかもしれませんが、「野球界の常識を疑ってかかる」「新しい常識を作っていく」という基本スタンスも強く影響しているように思います。例えば、2番バッターはバントなど小技の効くタイプが最適であるという常識。先発ピッチャーが長い回を投げるのが勝ちやすい形なんだという常識。世界最高峰のメジャーリーグが取り入れている戦術だから、ではなく、常に自分の頭で考え、新しいものを探しているからこそ、9年間監督であり続けても慣れることがないのだと思います。

打率についての捉え方も、「高い数字を残す選手が多ければいい」という単純な考えではありませんでした。昨シーズンのファイターズは、パ・リーグ打率ランキングの上位10位までに4人もの選手が名を連ねていました(3位近藤、4位西川、7位渡邉、10位大田)。これは、楽天と並んでリーグで最も多い数字です。チーム打率も、圧倒的な強さで日本一に輝いたソフトバンクと共にリーグ2位タイ。ただ、総得点はソフトバンクの531に対してファイターズは493。同じチーム打率にも関わらず38点もの差が生まれているのです。栗山監督はこの状況を「ヒットの数が多くても長打が出ていないという裏返し」だと話します。 例えば、1イニングに3本のヒットが出たとしても、それが全てシングルヒットなら1点も入らない可能性がある。3本のうち1本でも長打が出れば得点の可能性はぐっと高まります。

そんな考えのもと、栗山監督が打率よりも重視しているのが、OPS(オーピーエス)という数値です。出塁率と長打率を足して算出するこの数値は、チームの得点にどれだけ貢献しているかを表すもので、打率に比べて得点との相関性が高いことが分かっています。昨シーズのパ・リーグOPSランキングを見てみると、

1位 柳田悠岐(H)

2位 浅村栄斗(E)

3位 吉田正尚(B)

4位 近藤健介(F)

5位 ロメロ(E)

6位 マーティン(M)

7位 西川遥輝(F)

8位 中田翔(F)

9位 スパンジェンバーグ(L)

10位 山川穂高(L)

各チームの中軸を担う選手たちがずらりと並んでいます。ファイターズからは打率ランキングでも上位に入っている近藤と西川はOPSでもトップ10に入ったものの、打率に比べて順位を落とし、打率は2割台前半の中田翔が8位に食い込んでいます。「野球は打率だけじゃないということ。打率はもちろん大事だけど、それだけでは済まない」と語る理由の一端が、ここに表れています。

「長距離砲を作らなければいけないということが、チームの課題であるのは間違いない」。指揮官の強い思いに応えるのは誰なのか。 栗山監督の「全く慣れない」10年目のシーズンが始まります。

“俺が悪い”シーズンになりませんように

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