今年のコロナ・リストラ、既にリーマンショック超え。3月決算に向けさらに増加の見込み

 2021年のコロナ関連リストラは昨年の水準を上回り、さらにリーマンショック時の水準も超える勢いだ。

 昨年12月9日に公表された東京商工リサーチのレポートによれば、12月7日までに確認された上場企業の早期・希望退職者募集は90社に達し、リーマンショック直後の2009年、191社に次ぐ高水準となっている。募集人数は1万7697人で、募集社数と同様、2009年に次ぐ水準となっている。募集を実施した企業のうち直近の本決算が赤字となった企業は50社で募集企業の55.5%と半数以上を占め、新型コロナの影響で業績悪化に陥った企業が従来型の「赤字リストラ」を実施している状況のようだ。

 12月29日に同社が発表したレポートによると、21年1月以降に早期・希望退職の実施を明らかにしている上場企業は、同日現在ですでに18社に達しており、翌年の早期・希望退職の募集企業が10社を超えるのは、リーマンショック直後の09年1月以降の10社以来、12年ぶりで、この水準のまま推移すれば、今年21年の早期・希望退職の募集はリーマンショック時を大きく上回る水準に達する。

 18社のうち募集人数が判明しているのは13社で合計3360人となっている。「新型コロナ」を理由の一つにしている企業は11社で18社の61.1%と6割を超えており、新型コロナ関連リストラが増えていると言ってもよいようだ。

 募集人員規模を企業・グループ別に見ると、LIXILとグループ会社の1200人が最も多く、オリンパスも500人以上の大型募集となっており、100人以下が8社とほぼ半数を占めている。

 業種別では、自動車関連を含む電気機器が4社と最も多く、次いで、サービス業で観光関連が3社など新型コロナの影響が直撃した業種が目立っている。

 東京商工リサーチがまとめた雇用調整助成金を申請・計上した上場企業を業種別に見ると、小売業が33.9%、運送業が33.0%、サービス業が21.9%と労働集約型の企業が多い傾向にある。2月には雇用調整助成金の特例措置、3月末に無利子無担保融資など、コロナ禍の支援策が相次いで終了する。レポートは「消費マインドの低迷が長引き、業種により企業業績の回復遅れも懸念されている。このため、3月本決算に向けた構造改革で、2021年は人員削減に着手する上場企業がさらに増える可能性が高まっている」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)

東京商工リサーチの調査で、2021年1月以降に早期・希望退職を実施する上場企業は、すでに18社に達したことがわかった

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