鷹・周東、目指すハム西川との“差”はどこに? 鍵は「ボール球」と「コンタクト率」

ソフトバンク・周東佑京(左)と日本ハム・西川遥輝【写真:藤浦一都、石川加奈子】

「遥輝さんのような1番になりたい」と掲げる周東

ソフトバンクの周東佑京内野手が11日、福岡県内で今宮健太内野手らと自主トレを行い、これを報道陣に公開した。昨季、13試合連続盗塁の世界記録を樹立して脚光を浴びたスピードスターは「143試合全部しっかり出てこそレギュラー」と意気込みを語った。

昨季終盤に任された1番打者としての座も再び掴みにいく周東。「塁に出てなんぼの選手。出塁率3割後半あったらいい選手になれると(川島)慶三さんにも言われたので、4割と言わず3割後半」と目標を掲げ「遥輝さんのような1番になりたい」と、日本ハムのリードオフマン西川遥輝外野手を理想に掲げた。

昨季、熾烈な盗塁王争いを繰り広げた周東と西川。結果、周東が50盗塁をマークして育成出身者として初の盗塁王に輝いた。とはいえ、打撃成績で言えば、周東の打率.270、出塁率.325に対して、西川は打率.306、出塁率.430と、2人にはまだ大きな差がある。

周東と西川で大きな差になっているのは出塁率

では、周東が西川に匹敵する、そして西川を超えるリードオフマンになるには、どこの差を埋めなければいけないのか。昨季の2人の打撃指標から探ってみたい。打撃指標はセイバーメトリクスの指標を用いてデータ分析などを行う株式会社DELTAのデータを基に検証した。

2012年から1軍でプレーする西川と、まだ1軍で2年しかプレーしていない若い周東の間に経験、実力の差があるのは当然だ。それを踏まえた上で、打率以上に、差が生まれているのが出塁率だ。打率は.036の差だが、出塁率では1割以上の差がある。

出塁率の差に大きな影響を与えているのはもちろん四球だ。打席数が違うため四球数ではなく、四球割合を示すBB%で比較すると、周東がわずか6.9%であるのに対し、西川は17.6%の高さを誇る。これは12球団でも同じ日本ハムの近藤健介外野手に次ぐ2位の高さを誇る。

三振割合を示す「K%」でも大きな差がある。周東が22.8%と20%を超えるのに対して、西川は16.1%。さらに四球と三振の比を示す「BB/K」は西川がリーグ3位の1.10に対して、周東は0.30とリーグでも下位に位置する値となっている。

ボール球に手を出す割合などが周東は西川に比べて高い

2人の打撃内容を見てみると、ここにも大きな違いが見える。まず、ストライクゾーン外のボールをスイングした率を示す「O-Swing%」だ。西川の15.2%に対して、周東は28.4%にのぼる。まず、ボール球に手を出す確率が、周東は西川に比べて高いことが分かる。

さらに、このボール球に対してスイングした際にバットに当てた率を示す「O-Contact%」も西川が67.6%の割合でバットにコンタクトさせているのに対し、周東は56.0%と10%ほど落ちる。ストライクゾーン内のコンタクト率「Z-Contact%」も西川が91.0%で、周東の86.8%を上回る。スイング全体における空振り率「SwStr%」も西川の4.8%に対して、周東は11.1%と高い。

こう見ていくと、周東にとっての課題はいかにボール球に手を出さず、そして、スイングした際にはボール球、ストライク球に関わらず、よりコンタクト率を高めることが求められる。なお、打球のゴロとフライの割合は双方にさほど大きな差はない。

驚異的な俊足を誇る周東だけにバットにさえ当たれば、内野安打の可能性も高まるはず。ボール球の見極め、そして、コンタクト率を高めて空振りを減らすところにも、打撃成績を向上させるポイントがありそうだ。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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