「もう無理…」緊急事態宣言で大阪経済にトドメ 問われる吉村知事の手腕

吉村洋文大阪府知事

政府は11日、京都、大阪、兵庫の関西3府県に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を再発令する方向で調整に入った。

3府県の知事は9日、西村康稔経済再生担当相とオンラインで会談し、発令を要請した。西村氏は「極めて厳しい状況にあるとの認識を共有した」と語ったが、専門家が「なぜ急激な増加をしているのか精査、分析する必要がある」との認識を示していることに触れ、宣言の早期発令に慎重な姿勢を崩さなかった。

大阪府の吉村洋文知事は会談後、「政府の判断を尊重したい」としつつ、「僕は発令すべき状況と認識している」と、政府の判断を待たずに14日から大阪府独自で首都圏に準じた対策を始める考えを示していた。

こうした状況を受け、政府は7日に再発令を決めた首都圏4都県以外も新規感染の高止まりが続き、抑止に向けた強いメッセージが必要と判断。早ければ13日にも決定する見通しだ。

一方で、緊急事態宣言の発令がどこまで効果を上げられるのかは未知数だ。首都圏よりも一足早く感染者が増加していた大阪では、昨年11月27日から大阪市の一部エリアの飲食店に午後9時までの営業時間短縮を要請。12月14日には市内全域に拡大していたからだ。

府政関係者は「緊急事態宣言の発出で、国が協力金を出してくれるので財政面の負担が減るのは大きい」と指摘した上で「9時までが8時に短縮されて、さらなる効果が出るのか。長いところでは1か月以上、時短を強いられていて『もう無理』という声もよく聞きます。これが、さらに1か月伸びるとなると従わない店も増え、闇営業がはやるかもしれません。感染者はそれほど減ることなく、経営破綻する店だけが増えるかもしれない」と危惧した。

要請に従わない店舗名の公表など、より強い措置も取れるようになるが、吉村氏のかじ取りが注目される。

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