対馬・佐護観音堂「大般若様」 コロナ退散祈る

100歳を迎えた坂田住職から経本を体に当ててもらう住民=対馬市、佐護観音堂

 長崎県対馬市上県町佐護地区の佐護観音堂で11日、年始めの伝統行事「大般若(だいはんにゃ)様」があり、住民ら約20人が住職から大般若経の経本を体に当ててもらい、家内安全や子孫長久を祈願した。
 大般若様は同地区内にある恵古(えこ)、仁田の内、深山(みやま)の3集落の代表計6人が、深山にある瑞雲寺の大般若経の経本を100巻ずつ背負い、約1.5キロ離れた恵古の観音堂まで歩いて運ぶ。
 観音堂では、100歳を迎えた曹洞宗僧侶の坂田全宥(ぜんゆう)さん=瑞雲寺住職代務者、円明寺住職=が朗々と読経。経本を扇のように繰りながら、参拝した地域住民らの頭や肩に当ててお払いをした。
 儀式後、坂田住職は「昨年は疫病で世の中が大変な1年だった。悪霊退散、新型コロナ退散の願いも込め読経した」と厳かに述べた。再び、経本を背負って瑞雲寺に運んだ恵古地区の農業、須川正直さん(77)は「昔からずっと地域の安全を祈ってくださり、ありがたい。今年は新型コロナの早期収束と、住職にあやかって健康で長生きできるように祈願した」と話した。

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