楽天の新助っ人・カスティーヨ 年俸より出来高が高い「レア契約」の理由

レッドソックス時代のカスティーヨ(ロイター=USA TODAY Sports)

楽天が巧みな交渉戦術で着々と補強を重ねている。年明け早々の9日にキューバ出身のルスネイ・カスティーヨ外野手(33=元レッドソックス)と契約合意に達したことを発表。注目すべき点はその契約内容だ。

年俸65万ドル(約6750万円)の1年契約だが、MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者がツイッター上でも発したように追加で100万ドル(約1億400万円)ものインセンティブ(出来高)が付帯されているとみられる。単年契約で年俸以上の高額な出来高がプラスされているパターンはこれまでを振り返ってもレアケースだ。

実を言えば、このカスティーヨは米球界で「もったいない男」としても知られている。2013年12月に亡命し、翌14年にレッドソックスと7年総額7250万ドル(約76億1000万円)の超大型契約を締結。メジャー通算99試合の出場で打率2割6分2厘、7本塁打、35打点で17年以降はマイナー生活が続き、額面に見合った活躍を残せないまま昨年10月にFAになっていた。

レッドソックスの地元ボストンでは「史上最大の不良債権」と黒歴史の一つとして語り継がれているが、どちらかと言うと球団側の〝初動失敗〟によってカスティーヨの潜在能力を消し去ってしまったと指摘する声のほうが根強い。「キューバリーグ時代に盗塁王にも輝いた実績を持ち、俊足好打タイプのカスティーヨに対し、レッドソックスはいきなり破格の長期契約を提示して、甘えの構造を作り出してしまった」(MLB球団の極東スカウト)

その後、カスティーヨは17、18年に3Aのオールスターに2年連続で選出されるほど活躍。ようやく本領を発揮するかと思われた。ところが、自身の高額年俸でぜいたく税に抵触することがネックとなり、メジャー昇格を延々と見送られ続け、その間はマイナーで〝塩漬け〟にされた。

「こういう異常なキャリアを過ごしてきたカスティーヨに楽天はしっかりと目をつけ、高額なインセンティブで本人のやる気を促すという〝グッド・ディール〟を成立させたと思う」(同)

石井GM兼監督はカスティーヨについて「チャンスメーカーとポイントゲッターとしての役割、存在感を期待したい」とコメントしている。フロントと現場を両立させる〝石井マジック〟が実を結び、その実力を日本で開花させることができるか。

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