被爆体験者訴訟 2件の併合審理検討 長崎地裁

 国が定める長崎の被爆地域の外で原爆に遭い、被爆者と認められていない長崎県内の「被爆体験者」16人が県と長崎市に改めて被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、長崎地裁であり、県と市側は請求棄却を求めた。天川博義裁判長は、別の被爆体験者28人が同地裁で争っている同趣旨の裁判と併合審理を検討する考えを示した。
 16人は手帳交付を求め2019年、最高裁で敗訴が確定した被爆体験者第2陣訴訟の原告の一部。20年11月、改めて手帳と、新たに第1種健康診断受診者証の交付を求め再提訴した。同趣旨の裁判の28人は17年に最高裁で敗訴が確定した第1陣訴訟原告の一部で、18年に再提訴した。
 いずれも放射能で汚染された水や食物を摂取し健康被害が出たとして、被爆者援護法が「原爆放射能の影響を受ける事情下にあった」と定める3号被爆者に当たるなどと主張している。
 同日は、第1陣原告だった28人の訴訟の弁論準備手続きもあった。原告側は、昨年の「黒い雨」訴訟の広島地裁判決を援用し、放射線被ばくと、その関連が想定される疾病を確認できれば、国が求める健康被害の「科学的な裏付け」がなくても3号被爆者に該当すると主張、立証していく考えを示した。

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