長崎被爆2世訴訟 放射線の遺伝的影響 「可能性は明らか」 原告側主張

 長崎原爆の被爆者を親に持つ被爆2世26人が、国が2世の援護を怠っているのは憲法違反として、1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の弁論準備手続きが12日、長崎地裁(天川博義裁判長)であった。原告側は、専門家の意見書を踏まえ「放射線の遺伝的影響の可能性があることは明らかだ」と主張、被爆者援護法に基づく援護を求めた。
 兵庫医科大非常勤講師の振津かつみ氏(遺伝学)がまとめた意見書は、マウスなどの動物実験結果を通して「遺伝的影響は明らかだ」と指摘した。ヒトについても、チェルノブイリ原発事故などを通して「遺伝的影響を示唆する疫学調査報告」などがあるとした。
 「黒い雨」訴訟の広島地裁判決は、被爆者援護法が「原爆放射能の影響を受ける事情下にあった」と定める3号被爆者を「原爆放射線で健康被害を生ずる可能性がある事情下にあった」と解釈した。原告側はこの点を強調し、国が遺伝的影響の可能性を否定していない以上、2世も援護すべきだとした。

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