ダカールラリー:トヨタのアル-アティヤがスパート! 首位との差を15分に縮め最終日へ

 1月14日、サウジアラビアで行われているダカールラリー2021は競技11日目の“ステージ11”が行われ、TOYOTA GAZOO Racingのトヨタ・ハイラックスを駆るナッサー・アル-アティヤがベストタイムをマーク。今回大会最多6度目のステージ優勝を飾った。

 ラリーの総合2番手につける“砂漠の王”ことアル-アティヤは、アル・ウラーから紅海に面するヤンブーに向かう総走行距離598kmのコースにおいて、最大のライバルであり総合首位に立っているXレイド・ミニ・JCWチームのステファン・ペテランセル(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)にリードを許しながらの走行となっていた。
 
 しかし、そのペテランセルが砂丘エリアで立て続けにパンクに見舞わたことで両名の順位が逆転。トヨタのエースがプロローグを含め今大会6度目となるステージウインを達成し、通算13勝を誇る“ミスター・ダカール”とのギャップを前日の17分から15分31秒に縮めてみせた。

「今日は主催者が事前に言ってたように、ナビゲーションが簡単ではなかっため、とても難しいラリーだった」と語るのは、総合首位で最終日を迎えることになったペテランセル。

「(2度のパンクに見舞われた)砂丘は本当に奇妙なポイントだった。頂上のすぐ後ろに岩があって、それを予測したり確認するのは簡単ではなかったよ」

「最後のひとつはとても大きな衝撃があり、フレームの一部も壊れたのではないかと心配したが、幸い大丈夫だった。それらによってほんの数分遅れたが大したことではない。あと1日、幸運を祈るときがきた」

 対するアル-アティヤはタイヤのマネジメントに苦労している状況に不満を抱いている。

「クルマに技術的な問題なく11日目まで来られたことは本当にうれしく思っている」と彼は述べた。

「昨年とまったく同じで、タイヤと本当に格闘している。2022年は皆にとって、もっと良いルールになることを願っている。まだ1日残っているが今大会では16本以上のタイヤがパンクしているんだ」

「とはいえ、ここまでたどり着いたのはいいことだ。その点はハッピーだよ」

 ステージ3番手タイムを記録したのは前年王者、Xレイド・ミニ・JCWチームのカルロス・サインツ(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)で、トップと1時間4分差の総合3位は変わらず。総合4番手にはオーレンチーム/オーバードライブのヤクブ・プツィゴンスキー(ハイラックス・オーバードライブ)がつけ、トップ4をミニとトヨタが分け合う形となっている。

ステファン・ペテランセル(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)
ヤクブ・プツィゴンスキー(ハイラックス・オーバードライブ)
ジニール・ドゥビリエ(トヨタ・ハイラックス)
カルロス・サインツ(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)

■日本勢は順調にステージ11を走破。クラス首位で最終日へ

 四輪市販車部門を戦うチームランドクルーザー・トヨタオートボデーの三浦昂(TLC VDJ200)は、石が転がる路面で1度パンクを喫したものの、その後は順調に走行しステージ41番手/総合39番手でフィニッシュした。

 チームメイトのロナルド・バソ(TLC VDJ200)はノーパンク、ノースタックで11日目を走破しSS42番手/総合40番手につけ、TLCはクラスワン・ツー・フィニッシュに王手をかけた。

 トラック部門の排気量10L未満クラスにエントリーしている日野チームスガワラの菅原照仁(日野レンジャー)も、パンクやスタックとは無縁の1日となった。また、車両トラブルもなく大型クラスのライバル勢と遜色ないペースで走行。結果、ステージ13番手/総合13番手でビバーク地のヤンブーにたどり着いている。
 
 二輪クラスでは、レッドブル・KTM・ファクトリーチームのサム・サンダーランド(KTM 450ファクトリー)が2番手に2分35秒差をつけてステージ11を制し、総合でも2番手に浮上した。

 ロックスター・エナジー・ハスクバーナ・ファクトリー・レーシングのパブロ・キンタニージャ(ハスクバーナFR450ラリー)に次ぐステージ3番手となったモンスターエナジー・ホンダチームのケビン・ベナバイズ(ホンダCRF450ラリー)は前日から総合首位をキープ。サンダーランドに対しては5分7秒、チームメイトでディフェンディングチャンピオンのリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)には7分13秒のリードを持ってラリー最終日に臨む。

 なお、ホンダのもう1台を駆るホアン・バレダ(ホンダCRF450ラリー)は給油ポイントを逃したため267km地点でガス欠に陥り、ここで無念のリタイアを喫することに。総合4番手につけていた彼はその後、前日の転倒による負傷の状態を確認するため地元の病院に搬送されている。

 1月15日に迎える最終日の“ステージ12”は、ヤンブーからラリーのスタート地となったジェッダに至る総走行距離447kmのコース。2021年のダカールチャンピオンが決定する最後のSSの走行距離は200kmだ。

サム・サンダーランド(KTM 450ファクトリー)
ケビン・ベナバイズ(ホンダCRF450ラリー)

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