【柔道】男子重量級に深刻〝コロナ禍ブランク〟海外の強豪選手と稽古できず…

マスターズで負傷した原沢久喜

東京五輪で復活を目指す柔道男子の最重量級が思わぬ難題に直面している。

世界ランキング上位者らで争う国際大会「ワールドマスターズ」(カタール・ドーハ)が13日に終了。日本勢にとっては昨年2月のグランドスラム・デュッセルドルフ大会以来、11か月ぶりの国際大会となったが、結果は男女計9人が出場し、優勝は女子の2階級のみと低調に終わった。

特に深刻なのは男子の最重量級だ。五輪100キロ超級代表の原沢久喜(28=百五銀行)は初戦で敗退。右肩を負傷し心配されたが、15日に大会を総括した金野潤強化委員長(53)は「何か月も治療するようなケガではないと考えている」としつつ、敗戦については「ブランクに対応できなかったところはある」と話した。このコロナ禍によるブランクは最重量級には特に影を落としているという。

コロナ以前の全日本合宿では海外勢に対応すべく、積極的に外国人選手を招聘していた。2019年5月の合宿では、今大会100キロ超級でも優勝を果たした五輪2連覇のテディ・リネール(31=フランス)や、18年同級世界王者のグラム・ツシシビリ(25=ジョージア)らが参加。他にも強豪選手が多く、積極的に組み合うことで感覚が養えていた。

ところが世界的なコロナ禍で外国人選手を招いての稽古ができず、金野委員長も「精度が上げられないので、ウェートなど、方法を考えながらやっていくしかない」と厳しい表情を見せた。自分より重い選手が、周りになかなかいない最重量級の難しさがここにある。

五輪までに海外勢と組み合う練習は現実問題として不可能なだけに、なんとも頭の痛い話。復活を期すニッポン柔道の〝お家芸〟に黄信号が灯ったことだけは間違いない。

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