時短「やむなし」 長崎県内飲食店 協力金対象外から不満も 独自の緊急事態宣言を発令で

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、客足が遠のいたままの歓楽街=16日午後7時51分、長崎市本石灰町

 長崎県内全域の飲食店や遊興施設に対し、県が夜間の営業時間を短縮するよう要請した16日、新型コロナウイルスの流行で利用客が激減した店は「感染対策上やむなし」「協力金は助かる」と一定評価。一方、対象外となり協力金を受け取れない店からは「不公平」と不満が漏れた。
 「ここまで感染が拡大すると怖い。店でのリスクを少しでも減らさないと」。佐世保市で居酒屋を営む女性(42)は要請に応じる構え。第3波はこれまで以上に客足を遠のかせ、家賃や従業員給与など固定費は変わらずのしかかる。「もう少し協力金が多いと助かるが、それでもありがたい」
 昨年秋以降、感染者が出ていない新上五島町も対象に。同町有川郷の居酒屋「寄り処 満」の客入りは前年比4割減。店主の原満寛さん(43)は「来客がない日もあり、仕入れた魚が残るのはつらい」。取引先に支払いを待ってもらうこともあり、切実な思いで協力金を受け取る。
 長崎市の焼き鳥屋は客入りが1桁の日が続く。店長(45)は「もっと早く要請があれば落ち込みも浅かったのに」と嘆き、休業して日雇いアルバイトでしのぐことも考えている。同市内のあるバーは通常午後6時~午前0時の営業。要請に応じた上で2時間だけ店を開けるかは「周りを見て決める」と店主。
 補償付きの休業要請を県に求めていた銅座町商店街組合の坂本裕樹理事長は、一定評価しつつ「もっと早い対応が必要だった」。思案橋市会の安部孝広会長は、経営するクラブ4店舗が午後8時開店のためいずれも休業する。従業員は計80人超。協力金について「店の規模で額を変えてほしかった」と話した。
 「厳しいのはどこも同じ」。長崎市の酒屋店長(68)は訴える。売り上げは最大7割減だが、要請対象外のため協力金を受け取れず、「机上の計算で実情を分かっていない」と反発する。おしぼりを長崎市などで配る経営者(43)は「さらに出荷が減るかも」と不安げ。休業や閉店した取引先も多く、出荷本数は前年の8割減。「不平等と感じるが、財政上難しいのも分かる。出荷先があってこそ私たちは仕事ができるので仕方ない」と語った。

 


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