鷹の〝未完の大器〟田中正義が覚醒へ「ようやくコップの水があふれ出してくれた」

自主トレで笑顔を見せたソフトバンク・田中正義

ソフトバンクの田中正義投手(26)が17日、筑後のファーム施設で練習を行い「ようやくコップの水があふれ出してきてくれた」と独特の言い回しで5年目のキャンプに向け手応えを口にした。

昨年は右ヒジ痛を発症したが、10月に実戦復帰すると二軍戦4試合をパーフェクト。自己最速の156キロをマークした。

プロ入り後から一貫して取り組んできたのが、出力を上げても故障しない体の機能的な使い方だ。「体の中心を使って投げるイメージ」を持って取り組んでおり、投球フォームもハマってきた感覚があるという。

現状について「コップからあふれ出た水が目に見えた結果だとすると、注いできたものが、ようやくあふれて目に見えるようになってくれた」と表現。以前はネガティブ発言も多かったが、この日は「まだまだ良くなりますし、良くなっているし、自然ともっと練習したくなっている。いいサイクルに入っている。期待していいんじゃないかなと思います…自分に」と前向きな言葉を力強く並べた。言葉だけでなく、表情からも充実ぶりが感じ取れる。

結果が出はじめたきっかけとして以前に挙げていたのが〝脱力〟だ。「脱力がうまくできるようになったことが一番だと思う。メンタルも含めて。焦ってもないし、だらけてもないところを見つけられて練習できている。体の面でも脱力がうまくできて、機能が上がってきているイメージです」

それまでは焦りがさらなる焦りを生んでいたという。「入れ込みがヘタクソだった。ただ慌ててるだけみたいな。やっているけど前に進んでいなかった」。それが今は地に足をつけて前へ進んでいる。「慌ててもいいことがない。自分のできることに集中できている」とうなずいた。

決して順風満帆ではなかったが、一歩ずつ前へ進み、手応えを持って新たなシーズンに挑む。鷹の「未完の大器」がいよいよ覚醒するか。

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