卓球の全日本選手権最終日(17日、丸善インテックアリーナ大阪)、女子シングルス準決勝は東京五輪代表の石川佳純(27=全農)が、同代表の伊藤美誠(20=スターツ)を4―3(4―11、11―7、7―11、7―11、12―10、11―5、11―9)で破って5年ぶり5度目の優勝を飾った。
長い道のりだった。第4ゲームを終えて1―3と劣勢に立たされた石川だったが、ここから2ゲームを連取。最終第7ゲームは9―5から4連続失点で同点とされたものの、最後は2点を奪った。
頂上決戦を制した石川は「苦しい試合になることは最初から分かっていたので、諦めずにプレーすることを心掛けて『もっと思いきり』と自分に言い(聞かせてい)ました」と振り返り、優勝インタビューでは涙をこらえきれない場面もあった。
5年ぶりの頂点にこみ上げるものがあるもの無理はない。近年、卓球界は若手の台頭が著しく、実力をつけた年下選手に屈してしまうことも珍しくなかった。「自分自身、もうダメなのかなとか、プレースタイルや年齢をマイナスに考えてしまうときもあって、直接周りの人に言われたりすることもあって落ち込むこともあった」
それでも、周囲に支えられたことを明かし「(コーチの)邱(建新)さん、軽部(隆介)君だったり、トレーナーさん、家族が『全然やれるよ』『自分の可能性を信じて』と言ってくれて。自分を信じなきゃダメだと思って、最近はすごく楽しく練習はできているし、自分がやりたいようにやればいいと思えるようになりました」という。
こうして自身を見つめ直した石川はプレー面でも精神面でも〝守り〟から〝攻め〟に方針転換。「初優勝したときを思い出して、自分でつかみ取りに行くんだという気持ちで攻めの姿勢を持ってプレーを意識しました」
〝限界説〟を自ら吹き飛ばした石川は半年後の五輪に向けて「卓球を20年やってきて、私にとって東京五輪は最高の舞台。すごく出たいし、あると信じているので、私は頑張り続けるしかなと思っています」と力を込める。
大舞台では満開の佳純スマイルが見られるに違いない。