白石晃士監督 「ヒッチャー」は「教科書的な映画」 松坂桃李にも”超然とした存在感”の参考に見てもらった

現在公開中のサイコ・スリラー映画「ヒッチャー ニューマスター版」のトークショーが、17日にシネマート新宿で行われ、「不能犯」「貞子vs伽椰子」の白石晃士監督と映画ライターの村山章が登壇した。

冒頭のあいさつで、白石監督がルトガー・ハウアーが演じる殺人ヒッチハイカーのジョン・ライダー、村山がC・トーマス・ハウエル演じるライダーに襲われる青年ジム・ハルジーに似ている格好であることが話題になり、観客たちを盛り上げてトークショーがスタートした。

本作を公開時に劇場で観賞し、それから何度も見ていると語る白石監督。自身の監督作である「不能犯」の撮影時にも、主演の松坂桃李さん超然とした存在感の参考として「ヒッチャー」を見てもらったといい、「必要のない情報は入れない作品作りの教科書的な映画になっている」と明かし、「過去を描かずに、今の行動や表情でキャラクターを表現する描き方に無意識的に影響を受けている」と語った。また、村山は「何かが欠けたらここまでの映画になっていない。奇跡のような映画だ」と語り、白石監督も「人ならざる者が介在している奇跡的な映画」と同調した。

白石監督は、「イングリッシュ・ペイシェント」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」も担当したジョン・シールによる本作の撮影についても触れ、「今回劇場でニューマスター版を改めて観ると、死ぬほど美しい光の使い方をしている」と称賛。また、ジョン・ライダーを演じたルトガー・ハウアーの演技を「この映画で一番の功績」と語り、「少しの表情や動きで役の感情を表している彼の演技をより感じることが出来る」と、劇場で見ることの意義を語った。

「ヒッチャー」は、日本では1986年に公開された、謎の殺人ヒッチハイカーをルトガー・ハウアーが怪演したことで知られる作品。殺人ヒッチハイカーを乗せたばかりに、逃げても逃げてもひたすら狙われ続ける青年の恐怖と絶望を、派手なアクションの連続で描いている。クリストファー・ノーランがハウアーの演技を絶賛し、J・J・エイブラムスも「10 クローバーフィールド・レーン」の製作時に影響を受けたことを語るなど、後世に影響を与えた。HDリマスター版での公開は世界初となる。

ヒッチャー ニューマスター版
2021年1月8日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開中
配給:アンプラグド
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