スリランカから2人転入 諫早・小栗小 JICA元隊員 受け入れ協力 自動翻訳機も活用

在校生に向けてシンハラ語のクイズを出す(左から)戸崎さん、レハン君、オキマさん=諫早市小川町、小栗小

 長崎県諫早市立小栗小(福元英典校長、481人)に今月、スリランカ人のきょうだい2人が転入した。受け入れに際し、2人の母国語であるシンハラ語を話せる国際協力機構(JICA)の元青年海外協力隊員がサポート。授業中は自動翻訳機を活用するなどし、外国人の児童を初めて受け入れる学校側も手探りで取り組んでいる。
 今月8日に転入したのは、4年生のレハン君(10)と2年生のオキマさん(8)きょうだい。4年前に単身来日した父親が市内の企業で働いており、昨年12月に家族全員が日本に来た。父親以外は日本語を話せないため、市教委を通じ、JICAデスク長崎(長崎市)に相談があった。
 14日、スリランカで活動した経験がある戸崎千尋さん(35)ら元隊員3人が来校。2年生と4年生の児童に向け、同国の文化を学ぶ集会を開いた。クイズ形式でシンハラ語の簡単なあいさつや単語を紹介。伝統的な祈りのダンスも一緒に楽しんだ。
 入学から日は浅いが、休み時間には日本人の児童と一緒にグラウンドを走り回る姿も増えているという2人。集会後は「(シンハラ語を覚えてくれて)うれしかった」「日本語を勉強するのが楽しみ」と笑みをこぼした。
 戸崎さんによると、昨年10月に大村市の小学校にタイからの児童が転入した際も元隊員が協力した。今後県内に外国人の子どもが増えていくことを見据え、戸崎さんは「途上国を中心にさまざまな国の言語を話せる元隊員がいる。生活支援など協力できる部分にJICAの人材を活用してほしい」。小栗小には定期的に訪れ、学校と家庭をつなぐ役目を担う予定だ。
 文部科学省の2018年度調査によると、県内の「日本語指導が必要な児童生徒数」は外国籍33人、日本国籍(帰国子女など)33人の計66人。前回調査(16年度)の49人から増えている。
 受け入れで課題となるのは日本語教育。小栗小では国語と社会の時間に、別室で個人授業する「取り出し」と呼ばれる形で校長や教頭が教えている。テキストや教え方のマニュアルは東京など先進地のものを活用。2人の転入に合わせ、自動翻訳機も準備した。
 高田敦教頭は「英語で話し掛けるなど2人との交流で子どもたちの国際理解も進むだろう。2人にも日本の文化やルールを少しずつ教えていきたい」と話す。

2人の入学に合わせて準備した自動翻訳機。教科書の説明文に画面をかざすと日本語から英語に翻訳される

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