コロナで「変わる」から「変える」へ!新春討論「流通・地方」

けいナビ

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今回は新春討論の二回目。流通と地方創生の2つの観点で北海道のこれからについて議論する。ゲストはサツドラホールディングスの富山浩樹社長と、道東のクリエイター集団「ドット道東」の中西拓郎代表の二人。

まずは流通について。コロナ禍真っただ中の6月、札幌の新社屋に本社を移転したサツドラ。マスクや除菌グッズなど、コロナによる一定の需要はあった。一方でサツドラが強化してきたインバウンド向けの店舗は、大きな打撃を受けた。

コロナ以前は売り上げの1割をインバウンドが占めていたサツドラ

海外からの渡航制限などで売り上げは激減。上半期には、採算性の低いインバウンド店を10店舗閉店し、「冬眠」として過ごす応急処置をとった。新たに地域の買い物客に向けて、インバウンド店でも日用品の取り扱いを始めた。
一方で、新社屋に隣接するサツドラ北8条店。フラッグシップ店として去年6月にリニューアルオープンした。この店は、実証実験店舗としてサツドラと北大発のベンチャー企業「アウル」が手掛ける最新のAIやIoTが導入されている。

店内にはAIカメラを120台設置

天井に取り付けられたAIカメラでは、来店客の性別や年齢、行動などの属性を分析できるという。もちろん、個人情報・プライバシーは守られるようになっている。このAIカメラで来店者数を計測し、店に入る前に混雑状況をリアルタイムで確認することもできる。

AIで客の性別や年齢、行動などを分析する。※個人情報は守られている

さらに店内を回ると、壁一面にわたる冷凍食品コーナー。業務用の食材も数多く並ぶ。ターゲットは働く女性や一人暮らし世帯だ。この店の売り上げの内訳は、食品が4割、医薬品、美容、日用品がそれぞれ2割。ドラックストアの枠を超え、「暮らしを支える店」の意識が強い。

サツドラでは2016年以降、ティッシュや氷に加え、サプリ、美容クリームなどさまざまなジャンルのプライベートブランド商品を投入。ビジネスの幅を広げている。迅速な判断による店舗のスクラップアンドビルドに固定資産の売却などもあり、サツドラの去年6月から11月期の連結決算は3億9600万円の黒字となった。

続いては地方創生。道東で活動する「ドット道東」の取り組み。

道東地域で活躍する若者たちが作った、道東のアンオフィシャルガイドブック「ドット道東」。去年6月に発売すると、初版5000冊は1か月で完売。11月には地域の魅力を伝える情報誌やウェブサイトを表彰する「日本地域情報コンテンツ大賞」で、地方創生部門・最優秀賞を受賞した。

団体名も「ドット道東」。コアメンバーと呼ばれる道東在住の5人が指揮を執り、10人のクリエイターが所属する。道東地域の情報発信や、地方創生を目指すクリエイターたちの集団だ。クラウドファンディングで出版費用100万円を募集したところ、約330万円の支援金が寄せられた。取り組みに賛同する仲間も、北海道内外から50人近く集まったという。

出版を支えるメンバー

ガイドブックの出版をきっかけに、地方クリエイター同士のつながりや、情報発信をしたい自治体や地元企業から仕事の依頼も増えた。点で離れていたヒトやモノを繋ぎ、線ができ、面になる。その結果「道東」という地域を輝かせたいというのが彼らの理念だ。

メンバーが本当に勧めたい場所を紹介する

サツドラも地域に目を向けた取り組みを行っている。その一つが「地域コネクティッドビジネス」だ。

こちらは、サツドラの子会社「シーラクンス」が運営する小中学生向けのプログラミング教室。小学1年生がプログラミングを学び始めて3か月で、脱出ゲームを作ったという。

自作の脱出ゲームについて発表する小学一年生

使用するのは、マインクラフトというゲーム。ブロックを組み合わせることで建物を建てたり、オリジナルのロボットを作ったりと、デジタル上のモノづくりが楽しめるプログラミングゲームだ。このゲームを使って「プログラム的な思考」を教えている。

スクールでは小中学校でのプログラミング教育の必修化に向けて、プログラミングのスキルやデジタル教育の基礎を学べるカリキュラムが組まれている。サツドラでは、こうしたIT人材の育成を目指す教育事業を「地域コネクテッドビジネス」と呼ぶ。本業のドラッグストア事業とは関係がないように見えるが、流通の枠にとどまらず、教育や情報の側面から「地域の課題を解消する」という新しいビジネス展開を狙っている。

新型コロナウイルスの影響で、リモートワークなどビジネスの現場に大きな影響があった。それはもっと未来に訪れるはずだった変化が前倒しされたと言えるかもしれない。この変化を好影響にするためには企業や個々人の努力が必要だ。
(2021年1月16日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)